#79 決意。
体育の後、更衣室にいなかった悠希は次の時間の授業では普通に教室にいた
教室の隅で話している千秋と優弥の隣でオロオロしていた静香が喋りだす。
「でも・・・体育の授業中は品浜さん居たよ?」
静香の言葉をきいて千秋は悠希を睨みつけた。
「じゃぁ、更衣室の時にだけ居なかったってことか?」
『・・・もっ・・・もういいよ!ほら!授業始まるよ!席着こう?!』
そう言って自分の席へと向かう優弥の背中を千秋と静香はただ見つめることしか出来なかった。
「はい、今日の授業はここまで。」
チャイムと同時に先生が授業の終わりを告げた。
「あと、今日の日直。女子の方でいいや。この後職員室に来なさい」
先生のこの一言で優弥は黒板を見た。
日直という文字の下には〝如月優弥〟という名前と〝藤波奏太〟という名前が書かれている。
『?!』
つい立ち上がってしまった。
(そうだ。今日私奏太と日直なんだ)
帰ろうとした先生が優弥を見た。
「日直お前か?ノート運ぶだけだ」
『は?!めんどくさ!』
「サボるなよ?」
そう言い残して先生は教室から出て行った。
『重っ・・・』
先生にノートを渡された優弥は現在渡り廊下を歩いていた。
『てか力仕事って普通男子でしょ?!』
「如月さんっ」
優弥が一人でぶつぶつ言っていると、突然後ろから名前を呼ばれた。
『・・・・?』
振り向いてみると悠希が妙な笑みを浮かべてこちらへと向かって走って来ている。
「あのね、一応報告を」
『・・・何?』
悠希は「手伝うよ」といって優弥の持っているノートを半分持った。
「私、バレンタインデーに奏太君に告白するから」
悠希は勝ち誇ったような顔で優弥を見ていた。
『・・・何?それで奏太がいいよって言うとでも思ってんの?』
優弥が冷たく接しても悠希は笑顔で返した。
「やだぁ。そんなわけ無いじゃん・・・でも喧嘩中のくせに、そんな状況でよくそんな事言えるね」
『・・・・別に』
そう言って優弥は一人で走って教室へと向かい、教室に入るなり千秋と静香の前に立った
「おぉぅ、・・・優弥?どした?」
『私、バレンタインに謝る』
「・・・ゆーちゃん?」
静香は心配そうな顔で見ていた。




