#73 ピアス。
『もぉぉぉぉ!!!!何で来ないのぉぉ!!!』
1時間半ほどたっただろう。未だに優弥の元に奏太の姿は見えない
周りを見渡してみるとカップルだらけだった。
『もう・・・かえろっかなぁ・・・』
「そんでそんでー!えっとー・・・次はあの店!!!!」
その頃奏太はずっと悠希に引っ張りまわされていた。
「あの店もいいなぁー!」
「・・・いいかげんにしろよ」
奏太は悠希に強引に引っ張られていた手を無理矢理離した。
「・・・ばらしてもいいの?写真」
悠希は手に写真を取った自分のケータイと取り上げた奏太のケータイを持っている。
「・・・勝手にしろよ」
奏太は自分のケータイを奪って走り出した。
周りを見渡してもカップル。奏太の姿も見えない。
『帰ろう・・・』
電車に乗って帰ろうと思い、引き返そうとした。
「・・・」
突然、誰かに腕を引っ張られた。
『?!』
「っ・・・」
息を切らして奏太がやってきた。
『そ・・・奏太!!今まで何やって・・・』
「別に。・・・いくぞ」
奏太が前を歩き出した。
『え?!ちょっと待って!!』
前を歩いていた奏太がいきなりこちらを向いた。
「・・・はい」
奏太が手をグーにしてこちらに向けてきた。
『何・・・?』
奏太は優弥の耳にかかっている髪をそっと耳にかけて耳に何かしていた。
『・・・・何?』
優弥は耳を触ってみるとピアスが付いていた
「・・・クリスマスプレゼントッ!」
早口に言って再び歩いていってしまった
『あれ・・・?』
奏太の耳を見てみると同じピアスが付いていた。
思わず、笑ってしまった。
『おそろい・・・』
「早く行くぞ」
『あぁ!ちょっとまってよ』
♪~♪~♪
『?』
突然、知らないアドレスからメールが来た。
『・・・何・・・?この写真』
そこには、悠希と奏太がキスをしている写真が付いていた。