#64 転校生。
12月上旬、街はすでにクリスマス気分だった。
でっかいツリーが立っていたり、クリスマスセールなんかをやっている店もあった。
『すっかりクリスマスモードだねぇー』
それを見ながら優弥は思わず呟いた。
学校の帰り、優弥と千秋と静香でカラオケに行くことになり、3人で街を歩いている。
「イブってまた何かやる?」
静香が首を傾げて優弥を千秋を見つめながら言った。
クリスマスイブは毎年3人で集まって騒いでいる。
去年は盛り上がりすぎてイブの朝から遊んでそのまま静香の家でクリスマスをむかえてしまった。
『やろーよ!やろーよ!』
優弥は楽しそうにピョンピョン跳ねながら千秋に言った。
「そだな。今年は順番的に優弥の家か?」
『あー、お兄ちゃん帰ってくるかも』
「いーじゃん。別に」
と、あれこれ話しているうちにカラオケに着いてしまった。
翌日、教室に行くと奏太たち3人が女子に取り囲まれていた。
『な・・・何あれ。いつもより人多くない?!』
と、1人で呟いていると静香と千秋がこちらに向かってきた。
「皆クリスマスにデートしたい奴らだよ」
千秋が呆れた様子でそう言って、ため息をついた。
『えぇ?!何それ!!』
「私もうカナちゃんと予約済みだよ♪」
静香が嬉しそうに言うと千秋も続いた。
「竜が私以外と行くって言いそうに無いから大丈夫だろ」
「竜ちゃんちーちゃんのこと大好きだもんね」
「優弥は?」
静香と千秋が2人そろって優弥を見た。
『・・・まだ約束してない』
「さーぁ、どーする?「優弥は何も言ってこないし、そこらの女子とクリスマスを過ごそう」て感じになっちゃうかもよぉ~?」
千秋が途中で奏太の真似をしながら言った。静香があわてて否定している。
「そんなこと無いって!ほら、今のうちに奏太君に言ってこれば?」
『う・・・うん』
勇気を振り絞って奏太の所へ行こうとしたがいいところで先生がやってきた
皆が席に座るといきなり先生が一言叫ぶ。
「突然だが転校生だ」
もちろん皆がざわついた
「転校生?こんな時期にか?」
「美少女かな?美男子かな?それともキモイ奴かな?」
「なんでこんな中途半端な時期に?」
いろんな声が優弥の耳に聞こえてきたが、転校生が教室に入って来た。
「えっと、品浜悠希です!よろしくお願いします!」
茶色の髪をツインテールに結んだ可愛らしい少女。