#63 笑顔。
更衣室の前で叶と静香が向き合って座り込んでいた。先に静香が口を開く。
「何で・・・?何で、彼女なんていったの?」
「わっ・・・別れようって言われても・・しーちゃんは大好きだし・・・ごめん、勝手なこと言って」
静香が俯いた。地面に数滴の涙が落ちていく。
「何でごめんなんて言うのぉ?・・・悪いのは全部私なのにっ・・・勝手なことばかり言ってたのは私の方だよ」
「しーちゃん・・・」
「だって・・・せっかく付き合ってるのにカナちゃん・・・ちゅーも何もしてくれないんだもん」
叶がぎゅっと静香を抱きしめた
「ごめんね・・・僕、しーちゃんのこと、大好きだから・・・ね?」
「うんっ・・・助けてくれてありがとう」
2人は向き合って笑いあった。
『仲直りしてよかったねぇー』
帰りの電車。いつもの6人で帰っていた。
「お騒がせしてすません」
優弥の声に、静香はうつむいてあやまった。
電車が静香と叶の下りる駅に着くと、千秋がにやりと笑って手を振る。
「まぁまぁ、せっかく仲直りしたんだから。仲良く帰りなさいな」
「もぅ///ばいばい!」
静香は恥ずかしそうに電車から降りていった。
電車を降りた後、2人は仲良く手をつないで帰っていた。
「そういえば今日から12月?」
静香がふと思ったことを口にした。
「もうすぐクリスマスだねぇー」
そして、いろんなことを話し込んでいるうちに別れ道に着いた。
「あ、カナちゃん、ばいばい」
静香はそっと手を離した。
「んー・・・」
叶がなにやら考え込んでいた。
「?・・・カナちゃん?」
刹那、叶の顔が近づいてきて、静香にそっとキスをした。
「ちゃんと大好きだってこと・・・信じた?」
叶があまりにも可愛らしい表情でそう言うので静香は思わず笑ってしまった
「信じたっ!」