#60 決意。
『おはよー』
朝、優弥は教室に入るなり明らかに落ち込んでますというオーラを出していた静香のところへ向かった。
「ゆーちゃん・・・おはよ」
『元気だそーよ』
「だってぇぇぇぇぇ」
「どったの?」
いつの間にか後ろに立っていた千秋が話に割り込んできた。
『わぁ!千秋!おはよ』
「おはよう。何この暗い空気」
『知らない。朝から静香がこのような調子で』
「どしたんよ、静香」
「花占い」
静香が小さな声で呟いた。
『「は?」』
千秋と優弥が声を合わせて静香に聞き返すと静香は急に壁の方を向いた。
「花占いやってたらどうしてもカナちゃんは私のことが嫌いになっちゃうの」
『花占いっ?!!』
「信じんなよ!!!」
『乙女チックだこと』
「叶が静香のこと嫌いなワケ無いじゃん!」
『そうそう!』
千秋が静香の肩をつかんでそう叫ぶ。優弥もそれに頷いた。
「・・・ほんとに?」
涙目で静香が訴える。本当に可愛らしい子だ。
『うん。ほんと』
「カナちゃんのとこ行ってくりゅ」
優弥の返事で静香は急に幸せオーラを出して奏太と竜と叶が喋っていたところへ向かった。
「ひなたくーん!日向叶君!」
静香が向かおうとした時、教室に急に他のクラスの女子がやってきた。
呼ばれた叶が振り向き、首を傾げた。
「・・・?誰?」
「隣のクラスの者です♪えと・・・これ!家で作ってきたから食べて!」
と、笑顔で叶にカップケーキらしきものを手渡す。
「?・・・ありがと」
「きゃぁー!!可愛いー!!じゃぁね!ばいばい♪」
その模様を呆然とした様子で見ていた静香が優弥と千秋の元へ引き返してきた。
「もういいー!!」
『わお』
「どーした」
「きっとあの女の人が好きなんだぁ!!!」
『いやいやいや、おちつけ?さすがにそれは無・・・』
「もう別れる!!!」
『「はい?!!!」』
静香の決意に、優弥と千秋は揃って叫んだ。




