#55 立ちくらみ?
木の枝に優弥の指輪が見事に引っかかっている。
『あんなところにあった!!』
奏太がスルスルと木に登って引っかかっていた指輪を取って優弥に投げた。
優弥はそれをキャッチした。奏太は木から飛び降りて再び地上へ戻ってきた。
『ありがと』
「ばーか」
『よかったぁぁぁぁぁ』
優弥は安心してその場に座り込んだ。
「きたねーぞ」
優弥は座り込んだまま動かない。
「・・・優弥?」
『スー・・・スー・・・』
奏太が優弥の顔を覗き込むと、優弥は眠っていた。
「・・・ありえねー女・・・」
『ん・・・?』
優弥が目覚めるといつの間にかベッドの上にいて朝になっていた。
ふと時計を見た。8時。
『わぁ!!!学校!!!』
起こしてくれなかった奏太を恨みながら起き上がる。
その途端、なんだかくらくらした。
『・・・立ちくらみ?』
そんなことよりも今は学校へと急ぐ。
『電車間に合うかなぁー??!!』
『奏太!!!なんで起こしてくれないの!!!』
ギリギリセーフ。教室に入った途端にチャイムがなった。
「あ、来たんだ」
『来たんだじゃないし!!あー!疲れた!』
「ご苦労さんご苦労さん(棒読み)」
『やっぱりなんかむかつく!!!』
「ほらほら、1限目始まるよー(棒読み)」
『うざい!!!』
1限目の先生は何かとうるさい先生なのでとりあえず席に着いた。