#52 ご飯はカレー。
駅からはどちらかというと優弥の家のほうが近い。
家が隣なのでほんの数メートルの差なのだが。
奏太は優弥が玄関に入るのを確認してから家に向かった。
『ただいまぁー!お兄ちゃん?』
雷が怖いので帰って即効兄を探しに階段を駆け上がって兄の部屋に向かう。
部屋のドアを開けると兄が荷造りをしていた。
「あ、優弥。お帰り」
『・・・もしかして帰るの?』
「あぁ・・・うん。明日から学校だから。お母さん達今日仕事で帰ってこれないかも知れないから・・・留守番お願いね。」
『えぇ~!!』
「夕飯は作ってあるから。温めて食べてね。」
『え、あの・・・そうじゃ無くて』
「雨でびしょびしょだから拭いときなよ。じゃぁもう行くね。」
と、あっさり出て行ってしまった。優弥は急いで自分の部屋に向かう。
そして思いっきり窓を叩くと隣の家から奏太が出てきた。
外は雨が降っているのでとりあえずベランダを伝って優弥の部屋に来た。
奏太も優弥と同じく雨にぬれたままだったが奏太は手にタオルを持っていた。
「何?今会ったばっかりじゃん」
『奏太ぁ~!!!』
優弥はとりあえず現在の状況を説明した。
「・・・で、誰もいないと。」
再び雷が鳴る。
『わぁぁ!!』
「・・・」
奏太があきれた顔で優弥を見つめた。
「とりあえずお前頭拭けよ」
奏太が持っていたタオルを優弥に渡す。
奏太がぬれたままなのは気になったが優弥はそのタオルで頭を拭いた。
『・・・奏太のにおいがする』
「お前なんかキモイぞ。」
『香水のにおいしかしないんだけど!』
「・・・かさねーぞ」
『・・・すんません』
とりあえず夕食を食べるために奏太と1階に戻る。
夕飯はカレーが机に置かれていた。
『まだ少し余ってるけど・・・奏太食べる?』
「ん?じゃぁ食う」
優弥は席について夕食を食べ始めた。