#51 雷。
しばらく奏太と遊びまわったところで奏太がふと空を見上げた
「・・・降りそう」
『何が?』
「雨」
いつの間にか空には黒雲が漂っている。
『そろそろ帰る?』
「そーするか」
電車に乗って駅に着いた頃には今にも雨が降り出しそうだった。
「・・・走るか」
奏太は仕方なさそうに呟いた。
『えぇ~・・・奏太速いんだもん!』
「お前が遅いだけ」
『私別に標準だし!!!』
「んなもん知るか。走れっつってんだろ」
『嫌!!』
結局歩いて帰っていた。
家までの道を半分くらい歩いた時、空が急に光った。
『雷っ?!』
優弥が雷が大の苦手なのだ。
小さい頃は雷が怖くて奏太に捕まっていたら「うざい」と振り払われた記憶がある。
そんなこと言われても怖いものは怖い。
(実際今もとっさにに何かにしがみついてるし。電柱?)
はっとして上を見上げる。
・・・奏太だった。
(えぇ~?!!!何やってんだ自分!!!また怒られ・・)
「ごめん」といって奏太から離れようとした時、奏太の片手が優弥の背中にきた。
そのまま奏太の元へ引き戻され、もう片方の手で優弥の頭をぽんぽんされていた。
(・・・へ?・・・昔と反応違う・・・?)
「お前まだ雷嫌いだったのかよ。」
『あ・・・うっ・・・うっさい!』
奏太を握る力を強める。
ゴロゴロゴロ・・・
雷の音と共に大量の雨が降り出した。
『ぎゃぁ!!!ぬれる!ぬれる!!!』
「急ぐぞ」
『ちょ!奏太はやいはやい!!』
「お前が遅いって言ってんだろ。早く走れよ」
『あぁ!もう!うっさい!』




