#43 見つかった。
「で?何処行くんだよ」
優弥と奏太は手をつないだまま廊下を歩いていた。
『えっと・・・』
「優弥?」
『え?』
後ろの方から聞き覚えのある声がする。
いやな予感。後ろを振り向くと予感的中。
『お兄ちゃん?!』
優弥の兄と奏太の姉がいた。
奏がため息をついて心配そうに奏太を見つめた。
「何処にもいないから交通事故にでもあったのかと思ったよぉ。あぁ良かった」
「こんなとこでどう交通事故おこすんだよ。過保護が」
奏太が冷静にツッコんだ。
「だぁって、奏太も優弥ちゃんも何処にもいないんだもーん・・・アレ?」
奏太の姉がふと、優弥と奏太の手元を見る。
『あ』
手をつないでいたことに気付いた。
「やぁーんw何ぃ?2人ってつきあってるの??ねぇ?付き合ってるんでしょ?ねぇねぇ!」
「うわ・・・うぜぇ・・・」
奏太が予想した通りの反応だったのだろう。とても迷惑そうな顔をしている。
「おい、優弥、逃げるぞ。」
『う・・・うん!』
2人で急いでその場を立ち去る。
「祐人ってあんな無口だったっけか?」
走りながら奏太が聞いてきた。
『うーん・・・しばらく会ってないからなぁ・・・』
「で?何処いくんだよ」
『体育館!よくわかんないけど麻衣ちゃんが来てって言ってた』
なんだかんだ言って優弥は結構麻衣と仲良くなっている。
「アイツはもういい・・・」
『えー行こうよー』
めんどくさそうな顔をしていたが結局2人は体育館へ向かった。
「・・・はらへったなー」
『何か言った?』
「いや、何にも・・・」