#40 誕生日。
教室がざわついていた。皆優弥たちを見ている。
優弥の腕は奏太にがっちりと掴まれてしまう。逃げようにも逃げられない。
優弥はだんだんと怖くなって思わず目を閉じた。奏太の手の力が強くなり、舌打ちする音が聞こえた。
『ちょっと奏太!痛いから離し・・・』
抵抗しようとしたが喋れなくなった。一瞬だが、奏太と唇が重なったのだ。
『・・・・え?』
「ばーか!!!!」
『な・・・』
「お前ほんと馬鹿だな」
ちょっとときめいてやろうと思ったがスグになんだかむかつく台詞を言われた。
『はい?!』
「嫌いなわけねーだろ」
『え・・・』
奏太が下を向いた。
奏太が珍しいことを言うのでついつられて優弥も下を向いてしまった。
『だって・・・奏太女の人に好きって・・・』
「あれは・・・お前のこと好きか聞かれたから好きって言ったんだよ」
奏太は恥ずかしそうに髪の毛をくしゃくしゃしていた。
『じゃ・・・じゃあ最近一緒に帰ってくれないのは?!』
「いろいろ店まわってたんだよ!」
奏太がポケットの中を探り始めた。
「お前今日誕生日だろ。結局何買えばいいかわかんなかったから昨日、委員会が同じ女に聞いてたんだよ。」
『あ・・・』
「ほらっ手ぇだせ。」
優弥が手を出すと手に小さな箱が置かれた。
この大きさからするとおそらく指輪だろう。
「ちゃんと・・・好きだからな」
このタイミングで千秋がもどってきた。
「はー。先生話長・・・って、何してんの?あの2人」
千秋の言葉など優弥には聞こえていなかった。
「だからそれできげん直せ」
奏太が優弥の手を離し、その場から去ろうとしていた。
『・・・・やだ』
「は?」
奏太が不思議そうに立ち止まる。
『さっきの・・・もっかいしてくれたらきげん直す』
「・・・皆見てんだけど」
『じゃなきゃきげんなおさなーい!』
「・・・ばーか」
クラス中の女子が悲鳴をあげる
千秋は呆然としていたが。
「何してんだあの2人」
「ちゅーしてんねぇーw」
千秋の横に竜がやってくる
「あ、竜。いたんだ」
「えぇ?!ひどいっっ!」




