#38 好き・・・?
『あれ?』
優弥は教室に戻ってみた。ドアから覗くと奏太の姿があった。
声をかけようとしたが微妙に話し声が聞こえたのでつい隠れてしまった。
『誰・・・?』
チラっと覗いてみた。
――女子だった。
『うそでしょ?』
その時、奏太の声がはっきりと聞き取れた。
「好き」
『え・・・?今・・・奏太、何て・・・?』
優弥は逃げるように学校から去ってしまった。
夜の7時。部屋のカーテンを空けて外を見てみた。
隣の家の奏太の部屋の電気はついていない。
『奏太・・・まだ帰ってないの・・・?』
トン トン トン トン
隣の家の階段を昇ってくる音が聞こえた。
部屋のドアが開いて奏太が入って来る。
奏太がこちらに気付いた。
奏太は窓を開けてベランダに出てきた。
(平常心、平常心・・・)
優弥はそう言い聞かせながら奏太に話しかけた
『お帰り。遅かったね』
「買い物してた」
『ふぅん・・・』
「・・・」
(・・・テンション下げすぎたかなぁ・・・?!)
急に話題が無くなってしまった。優弥は必死に話題を考える
『そっ・・・そういえばそろそろテストだねぇ!!勉強しなくていいのぉ?!!』
「別にお前と違って勉強しなくても上位狙えるし」
『にゃ・・・にゃにおぅ?!』
「ばかだ。噛んでるし」
『うるちゃい!』
「何回噛めば気ぃすむの?」
とりあえず、今日のことは何かの間違いだろう!
そう、自分に言い聞かせていた