#162 風邪?
『あけおめぇー♪』
クリスマスもお正月も過ぎて、いつの間にやら新学期。
優弥は寒い廊下を少し早歩きで進み、教室の戸をあけた。
「ゆーちゃん!あけおめぇー!」
「おー優弥!おはよー」
千秋と静香が手を振ってきた。
2人に手を振り返し、教室をきょろきょろと見渡す。
「・・・?優弥、どした?」
千秋が不思議そうに優弥の顔を覗き込んだ。
『あっ、いや。奏太の部屋の窓叩いても出てくる様子無かったから先に学校来てると思ったんだけど・・・』
「ゆーやん知らないの?」
竜がいきなり千秋の後ろから登場してきた。
『何を?』
「奏ちゃん、風邪ひいたんだって」
『風邪?!』
放課後。優弥は当然のように奏太の家に向かった。
玄関でチャイムを鳴らしても誰も出ない。
両親は何処かへ出掛けたのだろうか?
『奏太ぁー?入るよー!』
優弥はそう叫んで家の中に入った。
階段を上がり、奏太の部屋の前で立ち止まる。
ドアをノックしてから、優弥はそっとドアを開けた。
『奏太ー・・・?』
部屋の中を覗き込むと、奏太はベッドの上で布団に包まって眠っていた。
『・・・』
優弥はベッドの近くに座り込み、奏太の顔をじっと眺める。
『・・・ちくしょう。綺麗な顔してんなぁ』
頬をぷにぷにと触ってみるが起きる様子がない。
『・・・』
そのうち、いつの間にか優弥は眠ってしまっていた。