#159 図書室?
『んん~っ・・・』
期末テストが終わった。放課後、優弥は思いっきり背伸びをする。
『やっとおわったぁ・・・』
マフラーを巻いて寒い廊下を歩き、玄関へと向かった。
周りをきょろきょろと見渡す。奏太がいない。
最近放課後になると突然居なくなる。
「優弥ぁー」
不意に後ろから千秋の声が聞こえた。
『何?』
振り向こうとした途端、千秋は優弥の隣に並んだ。
「竜見なかったか?」
『それが奏太も居ないんだよね』
「ま、いっか。じゃ、今日用あるから先帰るっ!」
『うんー。ばいばーい』
千秋は手を振って廊下を走っていった。
『・・・』
一人、廊下に取り残された優弥は携帯を取り出し、奏太に電話をかけてみた。
数秒呼び出し音がなった後、面倒そうな奏太の声が携帯の向こうから聞こえてくる。
「・・・何」
『あ、奏太?今何処にいんの?一緒に帰ろうよ』
「・・・あー・・・きょ」
奏太の言葉が突然聞こえなくなった。
と思ったら、携帯の向こうからは竜の声。
竜に携帯を取られたのだろう。
「もんもん?!ゆーやん?!助けてよぉ!!俺今図書室に」
と、突然竜の言葉が切れる。
奏太がケータイを取り返したようだ。
「・・・用あるから一人で帰れ」
そこで電話は切れてしまった。
『・・・図書室?』
優弥は首を傾げ、とりあえず図書室に向かった。