#150 女子たち。
いつもの教室が、妙に遠く感じる。
奏太に「別れる」と宣言した翌日。
優弥はやっとのことでたどり着いた教室の戸に手を伸ばした。
優弥は無理に笑顔を作り、思いきり戸をあけた。
すでに教室にいた千秋と静香に手を振る。
『おはよー♪』
だが、その声は女子達の高い声に、かき消された。
「きゃぁー♪」
『?!』
教室の隅に女子がたくさん集まっている。
『・・・何事?』
優弥は千秋に駆け寄り、首を傾げた。
「お前等が別れたからって急に奏太にまとわりつく女子が増えたんだよ」
千秋は呆れながら言った。
『・・・』
「あれ?ねぇ、ゆーちゃん」
静香が突然呟き、教室の入り口を指差した。
「あれって・・・」
そこをみると、悠希が廊下で手招きしていた。
『・・・?』
優弥が近づくと、悠希は小声で喋りだす。
「ちょっと!何なの?!あの女子達は!あんた達別れたって本当なの?!」
『えっと・・・』
「・・・ねぇ、ちーちゃん」
優弥が悠希の元へ行くのを見ていた静香は、不意に呟いた。
「んー?」
「なんかね、品浜さん見てたら私ね、いいことおもいついちゃった」
「・・・?」
静香は、千秋の耳に顔を近づけてヒソヒソとささやき始める。
「あのね・・・・・・」
「・・・そんなに上手くいくかね?」
「いくと願う!」
そう言って静香は、楽しそうに笑った。
「・・・じゃあ、後で品浜に頼みに行くか」