#146 ヤキモチ。
静かな時間が、流れる。
頑張れと言われても何をどうすればいいか全くわからない。
『・・・』
必死に話題を探すが、こういう時には何も見つからない。
その時、部屋に妙な音が響いた。
優弥の、お腹が鳴ったのだ。そういえばお腹がすいた。
「・・・」
奏太が変な目で優弥を見て、呆れながらため息をつく。
はいはい、あほで悪かったね。
「・・・あいつも、ハラへってんだろうな」
『あいつ?』
優弥は首を傾げる。
「華蓮。あいつ料理できないから。今日家に誰もいないし」
『何それ』
華蓮と奏太が何も無い、そういうのは優弥の勝手な妄想だったのか。
そんなわけがないのに、頭の中にはそんな言葉ばかりが流れる。
『私より他の子が心配なわけ?』
「は?」
勿論奏太は、呆れた表情だ。
ため息をついてから、優弥を見た。
「・・・何、妬いてんの?」
その言葉に、優弥の顔は一気に真っ赤になった。
『うっ・・・うるさい!』
「ばかだ」
『元カノと同棲なんかしてりゃあさ』
「それを別にいいって言ったのはお前だろ」
確かにそうだ。奏太を信じると決めたのは自分だ。
『う・・・でも!体育大会頃からちゅーもなきゃ、心配になるじゃん!』
「・・・ふーん。で、俺にどうしろと?」
『う・・・いじわる。・・・・・・きっキスしてよ!今までしてくれなかった分、いっぱい!いっぱい・・・』
奏太は呆れた顔で優弥を見る。
そんな優弥の顔は真っ赤だ。自分でもわかる。顔が熱い。
「そんなんでいいんだ?単純・・・」
呆れる、というよりか馬鹿にしている様子だった。
優弥は真っ赤な顔を少し隠した。
『っ・・・うるさい!』