#145 ほんとに2人きり。
「ゆうやぁぁ!!」
放課後。千秋の叫び声が教室に響く。
『な・・・何事?!』
千秋と静香が、大量の荷物を抱えて立っていた。
「ゆーちゃんお願いっ!この荷物1階の被服室に持って行って欲しいの!」
「家庭科の先生に頼まれた!あのババァ!後で呪い殺す」
静香がかなり困ったご様子で優弥を見上げる。
千秋は少し怒った顔で叫んだ。
そんな2人を見て優弥は目をぱちくりとさせて首を傾げる。
『行ってきたらいいじゃん。行ってらっしゃい』
「え?!えっと!私等はこれから大っ事な用事があるから!頼む!」
千秋は無理矢理優弥に荷物を渡した。
『えぇ?!こんな大量な荷物私一人じゃ無理だって!』
「じゃあ、奏太君とでも行ってきて?」
静香は無理矢理荷物を優弥に預け、千秋と2人で教室を去った
『えぇぇー・・・』
被服室へと続く廊下を、優弥は不機嫌な奏太と2人で歩いていた。
「めんどくさ・・・」
奏太がそう呟きながら、被服室のドアを開ける。
『・・・すんません』
被服室に入り、荷物を置く。
さっさと帰ろうと振り向いた時、ドアは勢いよく閉まった。
「「・・・え?」」
―――――ガチャ
嫌な音がした。
鍵が閉まるような、音。
まさかと思い、優弥は急いでドアを開けようとするが、案の定、ドアは開かなかった。
『えぇぇぇ?!嘘ぉ?!何でよぉ!!』
優弥が叫んでいると、黒板に小さく文字が書かれているのが見えた。
『・・・?』
"やっと2人になれたじゃん!せいぜい頑張りな!後で開けに来る☆ 千秋・静香"
そうか書かれていた。
『わぁぁぁぁぁぁぁ』
優弥は急いで文字を消す。
奏太はそんな優弥を不思議そうに見ながらも、適当な場所に座り込んだ。
『くっ・・・相変わらず冷静な奴め!』
優弥は奏太の隣に座り込んだ。