#14 新学期。
『麻衣ちゃん!!!』
優弥はこぼれそうな涙を必死にこらえて叫んだ。
「優弥ちゃん?!」
「優弥?!」
『これ・・・ハンカチ。忘れてたよ。』
麻衣にハンカチを差し出した
泣くな自分。
「ありがとう」
『じゃあ・・・ね』
泣くな・・・。
すぐに立ち去ろうと奏太達に背中を向けた。が。
「おい優弥。」
奏太に肩をつかまれて無理矢理振り向かされる。
自然と涙がこぼれた。
「お前、何泣いてんの?」
『・・・私もう帰るからっ』
奏太の手を無理矢理払って走って逃げた。
映画館の出口付近で千秋と竜が待っていた。
「おー。優弥。どうした?走って来・・・って何?何かあった?」
『う~・・・』
「どったの~ん?!」
千秋と竜が気遣っていたが優弥は何も答えることが出来なかった。
あのデートの日から奏太とは一言も話さないまま新学期が始まった。
奏太とも気まずいままの教室。
奏太のまわりには数人の女子が集まっていた
「おーい。優弥ぁ。奏太の周りに女子が集ってるゾーいいのー?」
千秋がお菓子を口にくわえて奏太の方を見ながら言った
『別に・・・。ただの幼馴染だし。関係ない』
「ゆーちゃん、ちーちゃん、次体育だから行こー?」
静香が心配そうな表情で言った。
「あ、うん。ホラ、優弥も行くぞ。」
『うん・・・。』
「きゃぁぁぁ!!!奏太君ナイスシュート!!」
体育は男子はバスケ、女子はバレー。
体育館には女子の声ばかりが響いた。
奏太や竜、叶が活躍する度に女子達は自分の授業そっちのけで叫んでいたのだ。
『・・・』
優弥は千秋と共に壁に寄りかかって自分達の出番が来るのを待っていた
「おーい。優弥ー?女子が騒いでんぞー。お前も見に行かなくていいの?」
千秋に耳元で言われたが大して気にしない優弥。
『行かない』
そこへさっきまでバレーをしていた静香が駆けつけてきた
「優ちゃん、ローテーション。次優ちゃん出なきゃ」
『あ、うん。』
優弥はのそのそと歩き始めた
「静香お帰りー。・・・あ!優弥危ない!」
千秋の叫び声で優弥が振り向いた時だった。
『え?』
男子の方からバスケのボールが飛んできた。
優弥に見事命中。優弥はそのまま倒れこんだ。
「ちょ・・・ゆーちゃん大丈夫?!」
心配そうに静香と千秋が駆けつけた
「ボール投げた奴保健室もってけー誰?ボール投げたの。」
千秋が男子に向かって叫ぶ。
「俺」
奏太だった。