#139 元気がない?
奏太たち3人のおかげで、午前中はありえないくらいに儲かった。
『んー!!交代の時間♪』
優弥は背伸びをする。
奏太たち3人もいつもの姿に戻っていた。
竜は千秋に思いっきり抱きつく。
「ちーあーき♪どこ行きたい?何欲しい?」
2人は教室から出て行った。
「カナちゃーん!私ね、ここと、ここと・・・」
静香と叶も2人で仲良く喋りながら教室を出て行った。
優弥が4人を見送ると、奏太は無言で優弥の手をひっぱり、歩き出した。
『奏太?どこいくの?』
「・・・何処でもいい。ここには居たくない」
『・・・?何で?』
奏太は、無言だった。
『ま、いいや。ねぇ、おなかすいた』
「・・・何欲しいの」
『えっと、じゃあたこ焼き!1年生のクラスにあったはず・・・』
奏太は、再び無言で1年生のクラスへと向かった。
(・・・やっぱり、元気ないのかなぁ・・・?)
優弥は心の中で、そう呟いた。
『奏太っ!あーん♪』
たこ焼きの味はなかなか良いものだった。
優弥は奏太にたこ焼きを向けた。
呆れる人達や、うらやましがる女子達。
周りの視線が痛いが、なんとかして奏太を元気づけよう、優弥はそう思っていた。
「おなかすいてないからいらない」
奏太は机に肘をついて、たこ焼きを作る1年生を眺めていた。
『そんなこと言わずに!食べないと元気でないよ!』
優弥は仕方なく、たこ焼きは自分で食べた。
その他にも、宝探し、プラネタリウム、クイズ、お化け屋敷。
あらゆる場所に行ったが、奏太の反応はいまいちだった。
優弥はお化け屋敷を出て、次に何処に行こうか悩んでいた。
『あとは・・・うーんと・・・』
優弥は文化祭のタイムテーブルをポケットから出すために、そっと奏太との手を離した。
『えっと・・・あ、体育館!体育館行こうよ!』
優弥が体育館の方を指さし、隣を見ると、奏太の姿は無かった。
『・・・あれ?奏太・・・?』