#137 冷たい?
体育大会が終わってしばらく経つ。近づいてくるのは文化祭。
時が経つのは意外と速いもので、学園祭は間近に迫っていた。
優弥たちのクラスは去年に引き続き、お化け屋敷。
・・・の予定だったのだが、お化け屋敷は1組とかぶっていたらしく、学級長がじゃんけんに負けた為、喫茶店となった。
『喫茶店かぁ・・・楽しそうじゃん』
「喫茶店じゃない、メイド喫茶だ」
千秋が優弥の耳元で急に呟く。
女子がメイドさん役、男子は主に飾りつけ等の準備だ。男子でいいのか
現在、5限目は準備の真っ最中。
メイド服は「知り合いにメイド喫茶やっている人いる!」というクラスメイトがいたので借りることにした。
『高校の文化祭も最後かぁー・・・』
優弥は、遠い目で呟く。
「そうだよ!最後なんだよ!絶対成功させてみせる!」
そう叫んでガッツポーズをした千秋の元に、静香が駆け寄ってきた。
「ゆーちゃん、ちーちゃん!」
『およ?静香。どうしたの?』
優弥は首を傾げる。静香は満面の笑みだった。
「あのね、今年からどのクラスが一番儲かるか競うんだって!」
その言葉を聞いて、千秋は怪しげに笑い始めた。
『ち・・・千秋?』
「ちーちゃん?」
「絶対優勝してやろうじゃないの!」
千秋は再びガッツポーズをした。
「「は・・・はい」」
留年しなければ高校最後の文化祭。気合は十分。
「・・・これ隣の部屋に運んどいて」
後ろから突然奏太の声がした。
優弥が後ろを振り向くと、ダンボール箱を持った奏太が立っている。
『あ、うん・・・』
優弥の返事を聞いて、ダンボール箱を渡した奏太はそのまま去っていった。
『・・・むー・・・』
「優弥?どうした?」
千秋がなにやら不機嫌な優弥の顔を覗き込む。
『・・・なんかさ、体育大会以来冷たいんだよね。奏太の態度』
「いつものことじゃねぇかよ」
『そう?・・・やっぱけんけんとキスしちゃったせいかなー?』
「何、何?倦怠期?」
静香が楽しそうに首を傾げた。