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Love Addiction  作者:
133/171

#133 キス?

騎馬戦が行われているグラウンドの隅の木陰に、優弥は座り込んでいた。

この場所は少しだけ涼しいのだ。

『リレーってこれの次だっけ・・・』

因みに格好は体操着に戻っている。

あんな服を着ていたら午後の競技に出られない。

騎馬戦が終わったようだ。男子達が戻ってくる。

「せんぱいっ!」

ふと、けんけんの声がきこえた。

『・・・?』

案の定、けんけんが走りながら優弥の元へ向かって来ている。

けんけんは笑顔で手を振ってきた。

『けんけん?!次リレーだよ?!こんなとこにいていいの?!』

優弥は、選抜リレーに出る人たちが並んでいる行列を見るが、けんけんは寂しそうに優弥を見つめた。

「せんぱい・・・」

『何・・・?』

「今まで、ご迷惑おかけしました」

けんけんは、ぺこりと頭を下げる。

意味がわからなかった。

『はい?・・・あの・・・』

優弥がおどおどしていると、けんけんは急に笑った。

「先輩っ♪」

突然、けんけんは優弥にキスをしてきた。

優弥はぼーっとけんけんを見つめる。

何が起こったのか状況が整理出来ていない。

「それじゃっ、リレー頑張ってきますねっ!」

そう言い残してけんけんはそのまま走り去って行った。

『・・・・・・・・・・・・え?』

ようやく我に返った優弥は、楽しそうに去っていくけんけんと、だんだんと天気があやしくなっていく空を交互に見つめた。


リレーが始まった頃に暗い顔で団席に戻った優弥は、自分の椅子にそのまま座り込んだ。

「どしたー?優弥。暗い顔して」

千秋が隣の椅子に座って優弥の顔を覗き込む。

『思い出したくもない・・・』


一方その頃。

奏太とけんけんはスタート位置に立って自分達の走る出番を待っていた。

もうすぐで、バトンが来る。

「奏太先輩、俺優弥先輩の事諦めます」

けんけんは、急に呟いた。

「・・・知ってる」

「よくわかりましたね」

「あいつと・・・小雪と喋ってただろうが」

「盗み聞きですか」

「聞こえたんだよ」

奏太は、相変わらずの無表情。

そんな奏太に、けんけんはにやりと笑った。

「さっき、優弥先輩にキスしちゃいました♪」

刹那、バトンを貰ったけんけんは、走り出す。

「・・・」

数秒後、奏太も走り出した。

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