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Love Addiction  作者:
132/171

#132 階段。

『あ・・・あの』

優弥が着替えて視聴覚室からでると、千秋と静香が待っていた。

「ゆーちゃん可愛いー!!」

静香がぴょんぴょんと跳び始める。

千秋は腕を組んで何度も頷いていた。

「ほら、噂をすれば奏太だ」

千秋は廊下の水道水で水を飲んでいる奏太を指さした。

『別に噂なんかしてないんだけど・・・』

優弥が一旦、奏太を見て再び千秋と静香のところを振り向くと、2人はいなかった。

『あれ?!ちょっと、千秋?静香ー?!!』

優弥が一人で叫びながらきょろきょろしていると、いつの間にか後ろに奏太が立っていた。

「・・・何一人で叫んでんの」

『ほわぁ!!』

驚いて振り返ると、奏太は呆れた顔。

「というか、何その格好」

奏太はチアガールの優弥をみて更に呆れた様子だ。

『あぁ・・・えっと、応援?」

「・・・」

奏太は無言だった。

(か・・・完全に呆れてるよ・・・他の話題!)

優弥は心の中で勝手に落ち込んでいる。必死に話題を探した。

『あ、そうだ!!リレー、絶対勝ってね!!』

優弥は歩き出した奏太の隣に並び、リレーの話を始めた。

階段の手前に来たところで、2人はち立ち止まる。

優弥はチェーンにつけて首から提げていた指輪を奏太に見せた。

『期待してるから』

その瞬間、どうして神様はこうも意地悪なのか、指輪をしまおうとした途端にチェーンが切れ、指輪は呆気なく階段の下に落ちていく。

『あっ・・・』

届くはずの無い指輪に思わず手を伸ばした優弥は、そのままバランスを崩した。

『ひゃっ・・・・』

何が起きたのか、わからなかった。

気付いた時には優弥がいたのは階段の下。

階段から、落ちてしまったのだ。

『っ・・・』

優弥は恐る恐る目を開ける。そんなに痛くない。運がよかったのか?

『・・・え?』

運がよかったわけではない。目を開けた先にいたのは、奏太。

『奏太?!ちょ・・・大丈夫?!』

奏太が、優弥の下敷きとなってくれたのだ。

「お前こそ、怪我は?」

奏太は優弥の頭を軽く叩いた。

『私は・・・大丈夫』

その言葉を聞いた奏太は呆れながら立ち上がる。

「・・・あ」

『・・・何?どうかした?』

「・・・別に」

『えー、気になるじゃん!』

優弥が歩きだした奏太の腕を掴む。

だが、奏太はすぐにそれを振り払った。

『・・・え?』

「・・・なんでもない」

奏太はそのまま階段を下りていく。

優弥はチェーンの切れた指輪を、仕方なく指にはめた。

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