#130 ランチタイム。
雲が少し漂う空の下、体育大会は始まった。
面倒な開会式が終わり、赤のハチマキを巻いている優弥は団席へと戻った。
『あっつい・・・』
優弥はお茶を取り出し、飲み始めると静香は心配そうに空を眺めた。
「今日午後から雨降るって聞いたよ?」
『え、そうなの?』
その途端、優弥の手からお茶が無くなった。
「おまえ天気予報もみてねぇのかよ」
振り向くと、優弥のお茶を飲んでいる奏太がいた。
『ちょっと!お茶くらい自分の飲んでよね!!』
「荷物になるから持ってきてない」
『はい?!』
「次、2年の全員リレーだろ」
『あぁ、けんけんも出るの?』
「・・・」
奏太は、無言でお茶のふたを閉めた。
「あいつ、何考えてんだよ」
『・・・?何か言った?』
「べつに」
『千秋!静香!!』
午前中の競技が終了し、ランチタイム。
優弥はお弁当を手に、千秋と静香の元へ向かった。
「教室?」
千秋もお弁当を取り出し、呟く。
「そうしようかー」
静香は相変わらずの笑顔。
優弥達は校内へと歩き出した。
その頃、小雪はお弁当を手にしながらけんけんの元へとむかっていた。
「せんぱいっ!」
「小雪ちゃん?」
けんけんが小雪に気付くと、小雪は俯きながら呟く。
「あの・・・お昼、一緒に食べませんか?」
けんけんはしばらく無言だったが、すぐに笑顔になった。
「うん、いいけど?」