#13 所詮幼馴染。
ストーカーは相変わらず続いていた。
奏太と麻衣という女は映画館へ入っていった。
「よし!私達も見るよ!」
千秋がさっそく財布を取り出す。
『え、今私金欠・・・』
「ホラ!いくよ」
優弥はお金が少ないのにも関わらず、無理矢理見たくもない映画をみる破目になってしまった
映画のエンディング真近。
いい加減見たくもない映画を見るのに疲れてきたので優弥は席を立った
『私ちょっとトイレいってくるね』
「おぅ!」
「いってらっしゃぁい♪」
千秋と竜に見送られながらもトイレヘはいると麻衣とかいう女が居た。
『あ・・・』
「え?」
優弥のつぶやきに麻衣は反応した。
「もしかして、優弥・・・ちゃん?」
『なんで私の名前・・・』
「奏太君とよく一緒に居る子でしょ?」
『あ・・・うん』
「えへへ。私隣のクラスの藍澤麻依。よろしくね!」
麻衣は可愛らしい笑顔で笑った。
『よろしく・・・』
「じゃぁ・・・。私もう戻るね?」
『あぁ、うん。』
麻衣はトイレから出て行ってしまった。
『って・・・よろしくしてどうすんの!!』
「おーい。優弥。映画終わったぞー」
千秋がやってきた。ふと、優弥は洗面所にハンカチを見つける。
『あれ?』
ご丁寧にマジックで名前が書いてある。
『藍澤麻衣・・・』
「あの女の?」
『私・・・届けてくるね。』
「おぉー!!いってらっしゃい」
千秋が楽しそうに、走り去っていく優弥を見守っていた
さっきの映画を見ていた場所に戻ると、奏太と麻衣だけが残っていた。
(何してんだろ・・・)
話声が聞こえる。
「奏太君って、優弥ちゃんと仲良いよね」
麻衣が俯きながら喋っていた
「そう?」
「うん。そう。付き合ってそうな勢い」
「・・・んなわけねぇよ。ただの幼馴染だし。優弥のこと好きでもなんでもないし。」
奏太の言葉が、妙に優弥の頭の中で繰り返し流れた。