#124 幼稚園以来の。
千秋たちもいなくなって部屋に響くのは再び時計の音のみとなった。
沈黙の中、奏太はずっと天井を見ている。
『・・・・・・』
早く寝てしまいたいのだが胸の鼓動がだんだん早くなっている。
これは、怖いからなのか、奏太と同じベッドだからなのか。
優弥にもよくわからなかった。
刹那、ゴトッという物音がした。
『ひゃぁ!!』
ホラー映画を見たばかりの優弥は怖くて仕方が無い。
思わず奏太にしがみつく。
「隣の部屋の奴が壁にぶつかっただけだろ」
奏太は面倒くさそうに呟いた。
『ふぇぇぇ・・・』
優弥は奏太にしがみついている手の力を強くした。
「おい、いい加減放せ」
『やだ!怖いもん・・・』
「離せ」
『嫌』
優弥がなかなか離れようとしないので奏太は無理矢理優弥を離した。
かと思うと、突然手がつながれた。
「こうしてればいいじゃん」
『・・・うん』
その手を見て、安心しきった優弥はそのままいつの間にか眠っていた。
『ん・・・?』
翌朝。優弥が目を覚ますと隣に奏太の姿が無かった。
『あれー?奏太ー?』
ベッドから降りて奏太を探すと突然洗面所から奏太が出てきた。
「なんだよ」
前髪が噴水のように結ばれている。顔を洗っていたのだろう。
『いや・・・別に』
あっさり奏太を発見してしまった。優弥はそのまま洗面所へ入る。顔を洗いながら昨夜の出来事を思い出してみた。
(そっか・・・一緒のベッドで寝ちゃったのか・・・手、繋ぎながら・・・///)
馬鹿らしくなってきた。出しっぱなしにしていた水を止めて洗面所を出る。
『?!!何してんの!!!』
洗面所を出るとそこには上半身裸の奏太。
「は?着替えてんだよ」
『っ・・・///もういいっ!着替えるからむこう向いてて!!』
優弥は、顔がだんだん熱くなるのを感じた。




