#120 忘れられない夏?
『海だぁー!!!』
面倒な終業式も終わり、夏休みに突入した優弥たちは海にやってきていた。
この後は竜が予約してくれたホテルで一泊、明日はお祭りへ行く予定だ。
優弥たちは早速海に入る。
千秋はどこからかビーチボールを取り出して竜に当て始めた。
「痛~!!!!こんにゃろう!」
竜は思いっきり奏太にボールをぶつける。
「いって・・・」
奏太は竜を睨みながら静香に向かってボールを投げた。
『ふぁー・・・つかれた』
優弥は砂浜に立てたビーチパラソルの下へ移動した。
千秋たちはまだ遊んでいる。
『皆元気だねぇー・・・』
優弥が一人で仰向けで寝転がってうとうとしていると、急に隣に奏太が座ってきた
『私さー、多分去年ここの海来た時から奏太のこと好きなんだよねー』
優弥が、少し遠い目で呟いた。
「何だよ急に。よくそんな事覚えてるな」
奏太が飲み物を飲みながら不思議そうな顔をしている。
『そりゃ忘れらんないよ。あんなに奏太が嫌いだったのにいきなり奏太を好きになっちゃうんだもん』
「ふーん」
興味がなさそうにしている。優弥は奏太を見て、また呟いた。
『今年はもっと忘れられないんだろなーって、勝手に思ってるんだけど?』
「・・・」
奏太は相変わらずの無表情で飲んでいたジュースを優弥に差し出した。
「もういらないから飲んどいて」
そういって再び千秋たちの元へいってしまった。
『・・・高校最後の夏だっていうのに・・・』
優弥は奏太のジュースを飲みながら呟いた。
ふと、千秋達の方に向かって歩いていた奏太が急に立ち止まって振り返った。
「水着、そこそこ似合ってんじゃない?」
そう言って、再び歩き出した。
『そこそこって・・・』