#119 遊びまくる?
『あーつーいー・・・』
教室をどんどんと暑くさせる太陽はそれをやめようとはしない。
優弥は下敷きを団扇代わりにして仰いでいた。
「こんな暑いと授業にも集中できないよっ!!」
竜が奏太の肩に倒れこみながら叫んだ。奏太は暑そうにして竜を引き離した。
「くっつくな。余計に暑い。お前は暑くても寒くても勉強しねぇだろ」
刹那、千秋が急に立ち上がる。
「おい静香!3日後は何があるか知ってるか!!」
千秋は静香にアイスをマイクのようにして向けた。静香は急にあてられたのであわてながら答えた。
「えぇっと・・・終業式!」
「そうだ。終業式が終われば翌日からは何だ!」
今度は叶の方を向いていった。叶は少し首をかしげる。
「えっと、夏休み?」
「そうだ。夏休みだ!今年の夏休みは遊びまくるぞ!!」
千秋はこう叫んでいるがここまで元気がいいのは千秋だけだ。
皆暑そうに下敷きを団扇代わりにぱたぱたさせている。
『千秋は元気だねー』
優弥はさりげなくそう呟くと勢いよく千秋に睨まれる
「いいから遊ぶ!」
「ちーちゃんは思い出を作っておきたいんだよ」
静香は笑顔でそう言った。
「「「かーわいいー」」」
叶と竜と優弥で声をそろえて言った。千秋は顔を赤くして叫びだす。
「バカにしてんのかお前等!!!」
さっきからやけに騒がしい千秋をクラス中の人が呆れながら見ている。
『でも、いいかもね。海とか行こうよ』
優弥の言葉で千秋の目の色は一気に変わる。
「よっしゃ、ほら来た!!海!花火!お祭り!その他諸々!!」
『私海しか言ってないし。色々増えてるよ?』
とか言いつつも。高校生活最後の夏休みだ。思いっきり遊びまくろう。
周りの女子達はうらやましそうに見ていた。
おそらく、自分も奏太たちと遊びたいとでも思っているのだろう。
だが、そんなのは見てみぬフリをして、優弥達はさっそく計画を立て始めた。