#117 寂しい。
『あー眠い・・・』
5限目。古文の授業がつまらないので優弥は近くにいる千秋と喋っていた。
さっきから先生が何度かこちらを睨みつけている
因みに奏太はおそらく屋上で寝ているだろう。古文になるといつもさぼるのだ。
『奏太が大学ねぇー・・・』
優弥が呟くと千秋は眠そうに机に伏せていた顔を起こした。
「奏太がさっき持ってた資料。あの大学結構遠いぞ?」
『やっぱあの家出てっちゃうのかなー・・・』
「・・・・寂しいのか?」
千秋がにやりと笑って優弥をからかい始めた。
『そんなんじゃないって!!そーいう千秋こそ!どうせ高校でたら竜と会う機会も少なくなるんでしょ?!竜は忙しくなるだろうし』
「今私の話はしてないだろ!!」
千秋がそう叫んだ瞬間、チョークが飛んできた。
「そこ!!さっきからうるさい!!」
先生がついに怒ったが、優弥と千秋は揃って先生を睨みつける。
「「先生、うるさいっ!!」」
先生は呆れて授業を再開する。
『・・・確かに、寂しいよ』
「・・・」
千秋がしばらく黙った後、呟いた。
「・・・今みたいに6人で仲良くっていうのは少なくなるんだろうな」
放課後、廊下を走ってる優弥は現在教室に向かっていた。
先生に呼び出され、職員室に行って来たところで、教室に奏太を待たせているのだ。
『奏太っ!ごめん!!さっ、帰・・・』
奏太からの返事はない。教室にたった一人で居た奏太は、ぐっすりと眠ってしまっていた。
優弥はその隣の席に座った。奏太は静かに寝息をたてている。
『爆睡してるなぁー・・・』
そのうち、だんだんと瞼が重くなってきた優弥はいつの間にか眠りについていた。