#116 離れる?
奏太は頼まれた飲み物を買いに食堂の自動販売機へ向かっていた。
隣には千秋がいる。
「千秋は何でそんなに先生に呼ばれんだよ」
奏太は呆れなから千秋の方を見た。
「知らねぇよ。先生の話をしっかり聞けとか、意味わかんねぇこと言われんだもん」
千秋が愚痴を言い始めた。奏太が返事をする暇もなく、千秋はそのまま話を続けた。
「そんなこと言ったらお前らも一緒だろうが!静香だけは別だけど。ったく、なんで私だけ!」
「俺等はお前と違って勉強できるから、じゃないの」
奏太は千秋の話を無理矢理遮った。
「じゃあ竜は何なんだよ」
「あれは社長さんの息子だからだろ。一応」
「なんだよそれ。・・・・というか奏太」
千秋がいきなり話題を変えた。廊下の突き当たりまでやってきて立ち止まった。
職員室まで行く千秋はここで奏太と別れるのだ。
「お前、さっきの資料の大学。ここら辺から通うには少し遠いんじゃないか?」
「別に。電車で1、2時間くらいだし」
「今の家出ていく気なら、優弥のことも少しは考えてやれよ」
そういって千秋は廊下を曲がって歩きだし、奏太は返事も返さずに階段を降りて千秋と別れた。
人数分の飲み物を買い、奏太は教室へ戻った。
優弥、静香、竜、叶の4人でババヌキをやっているようだ。
「あ!奏ちゃんおかえり♪」
竜が奏太に気付き、ぶんぶんと手を振ってきた。
奏太は竜にコーヒーを投げて渡した。それを受け取った竜は早速飲み始める。
奏太は叶と静香にお茶を渡し、優弥の前にあった机にオレンジジュースを置いた。
「え?私の分も?ありがとう♪」
静香が少し驚いた様子で言った。
優弥は喜んでオレンジジュースを飲み始める。
『おぉ♪やっぱ買って来てくれたじゃーん』
「・・・別に」
『・・・?奏太どうしたの?』