#114 ともだち。
優弥が電話を終えると、小雪はいきなり立ち上がった。
「じゃあ、私諦めません!先輩、覚悟しておいてくださいね!」
そういって小雪は静かに微笑んだ。
『小雪ちゃ・・・』
優弥が再びベッドから起き上がり、感動に浸る暇もなく、いきなり保健室のドアが開いた。
やってきたのは千秋、竜、静香、叶だった。
「ゆうやーん?やっほー♪元気ー?」
竜がいきなりそう言って奏太に抱きつく。
「元気じゃないから保健室に来てんだろ」
千秋が冷静にツッコむ。静香と叶は心配そうに優弥の元へやってきた。
「ゆーちゃん大丈夫?」
「体育がいきなり保健になっちゃったからサボって来ちゃった♪」
叶が可愛らしく笑顔で言った。
ふと、優弥は小雪がずっとこちらを見ていることに気付いた。
『小雪ちゃん・・・?』
「ふぇ?!ななな・・・何でもないです!!別にお友達が多くて羨ましいだなんて思ってないです!!」
『と・・・友達欲しかったの?』
「えぇぇ?!なんでそれを知ってるんですか?!エ、エスパー?!」
「今自分で言ったんじゃーん!おばかさん♪」
竜がいきなり話に割り込んで小雪の頬をつついた。
「部活でも入ればいいじゃん」
千秋が当然だとでも言うような表情でそう言った。
「で、でも私運動オンチだし・・・」
小雪はがっかりするかのように俯いてようやく転んだ膝に絆創膏を貼り始めた。
「マネージャーとかでもいいんじゃない?」
叶が首を傾げて子犬のような目で小雪に目をやった。
「陸上部の人たちがフレンドリーだってよく聞くよ?」
その隣に静香がやってきた笑顔で言った。
「陸上部・・・はいっ!ありがとうございました!!」
そう言って小雪は笑顔で去っていった。
『しっかし。奏太のファンには面倒なのが多いよ。品浜さんといい小雪ちゃんといい・・・』
優弥がそう呟くと奏太は優弥に渡していた自分のケータイを奪った。
「お前も十分面倒だろ」
『はい?!私の何処が!!』