#113 両思いの人?
優弥はベッドに寝ながら奏太と小雪ちゃんのやり取りを見ていた。
ドアを閉められた小雪は静かにその辺にあった椅子に座った。
「な・・・なんですか?」
小雪は気まずそうに奏太を見上げた。
「・・・何がしたい」
「・・・?」
「お前は俺のことが好き、それでお前はどうしたい」
「?!!何でそれを!!」
小雪の顔は一気に真っ赤になった。やっぱり奏太が好きだったのか。
小雪は俯いてしばらく黙り込んだあと、答えた。
「出来れば・・・両思いになって、一緒にデートしたり・・・したいですけど・・・もういいです」
「は?」
「藤波先輩には如月先輩がいますし」
もうすでに諦めたかのような口調で、ずっとうつむいている。
『何で・・・?』
優弥は必死にベッドから起き上がって小さくそう呟いた。
『そんな簡単に諦めちゃうの?』
「如月先輩には私の気持ちなんかわかりませんよ!!」
小雪に怒鳴られた。その場に静寂が訪れた。その静寂を破るかのように小雪は話を続けた。
「両思いの人に、私の気持ちなんかっ・・・」
小雪は今にも泣きそうな表情をしていた。
「私が如月先輩に敵うわけないですよ」
『わっ・・・私だって片思いの時期はあったさ!!』
優弥は小雪に怒鳴り返した。小雪は驚いた表情でじっと優弥を見つめた。
『しかも奏太は意地悪な事しかいわないしさ!でも、諦めたくなかったんだもん!!』
「・・・・」
『あ!!でもそう簡単に奏太はあげないよ?!って、わぁ?!』
優弥がそう言うと奏太に無理矢理ベッドに寝かされた。
『ちょ、何すんの!!』
奏太は自分のケータイを優弥に投げてきた。
「お前は兄貴にでも連絡してさっさと病院行って来い」
優弥のケータイは教室にある為、優弥は仕方なく兄に電話をかけ始めた。