#112 貧血?
『さて・・・小雪ちゃんをどうするか・・・』
1限目もおわり、10分休憩。優弥は教科書もしまわずに悩んでいた。
千秋が不思議そうにお菓子を銜えて近寄ってくる。
「小雪・・・?誰だそれ。何かあったのか?」
『あのさ・・・』
「だから放っとけよ」
優弥の言葉を遮るように奏太がやって来てそう言った
『放っとけないからいってんじゃん!』
そう言って優弥が自分の席から立ち上がった瞬間、優弥は急に立っていられなくなり、そのまま奏太の元へ倒れ込んだ。
奏太が優弥を支えて、驚いた表情で優弥を見ている。千秋も心配そうに優弥の顔を覗き込んで呟く。
「優弥?貧血か?」
『ん・・・そうみたい』
「保健室行くか?」
『そうす・・・る?!』
優弥が千秋に返事をしている途中、優弥は奏太に姫抱っこされた。
奏太はそのまま保健室へと向かった。
『ちょ、降ろしてよ!パンツ見えちゃうの!!自分で歩くから!!』
「暴れたら落ちるぞ」
『いや、むしろ落としてください!!』
「・・・へーぇ」
『いや、やっぱりやめて!』
奏太ならこのまま手を離してしまうかもしれない。
そんなことをされては貧血どころか怪我までしてしまう。
そんなこんなしているうちに結局保健室まで来てしまった。
奏太は足でドアを開くと、そこにいたのは小雪だった。
絆創膏を手に持ってうろうろしている。
「せっ・・・んぱい・・・」
『あ・・・小雪ちゃん、先生は?』
優弥が聞いても、小雪は目を逸らして答えた。
「い、いないみたいです」
「あんたは此処で何してんの」
奏太が優弥をベッドに降ろしながら聞いた。
「ま・・・また転んじゃって」
小雪は気まずそうに保健室を出て行こうとしたが、開いていたドアは奏太によって思いっきり閉められた。
「ふぇ?!」
「・・・逃げんな。話がある」