#108 職員室。
翌日の放課後、日直だったので当番報告をしようと優弥は職員室前に居た。
もちろん、もう一人の日直、奏太にはサボられた。
「如月先輩!」
職員室から小雪が出てきた。元気そうに手を振ってこちらに向かっている。
『あ!小雪ちゃん!』
「如月先輩、どうしたんですか?こんな場所で」
小雪にそう聞かれると優弥は学級日誌を見せた。
『日直。本当はもう一人いるんだけど、逃げられちゃって。・・・まぁ、それが昨日言っていた彼氏なんだけど』
「かっ・・・彼氏さんなのにサボっちゃったんですか?!酷いですね!」
『だから言ったじゃん、何で私のこと好きなのかもわからないって。』
「あ・・・」
小雪が申し訳なさそうに俯いた。
『まぁ、優しい時は優しいんだけどね』
優弥がそう言うと小雪は笑顔になった。
「あ!それ、私の好きな方に似てます!いじわるそうに見えて、優しい方でした!」
小雪が叫ぶと職員室から先生の声が聞こえた。
「おい、如月ー!いるなら早く日誌もってこーい!」
優弥は職員室に向かってめんどくさそうに叫ぶ。
『はいはーい!ちょっと待ってよ!今行くってば!』
「あ!ごめんなさい!ひきとめちゃって・・・」
本当に良い子だと、優弥は思ってみたりした。
『ううんっ!じゃあ、またねっ!』
「はいっ!」
一方その頃奏太は一人で玄関の傘たてに座りこんでいた。
「あっ・・・」
急に聞こえたその声に、奏太は周りを見回す。
昨日会った少女が、玄関に居た。
「・・・昨日の」
「あっ・・・三波小雪です!」
「・・・冬生まれ?」
「あ、はい」
「やっぱり」
「あぁ!電車が間に合いません!そろそろ失礼します!!!」
小雪は時計を見てあわててその場を飛び出した。
『あれー?奏太何してんの?』
小雪が去るのと同時に優弥がやってきた。
奏太に近づくと、奏太は優弥の頬をつねる。
「お前を待ってたんだよ」
『いたたたた・・・待ってるくらいなら日直やりなさいよ!』
「嫌」