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Love Addiction  作者:
107/171

#107 黒髪セミロング少女と絆創膏。

先生のいない保健室は、あまりにも静かすぎた。

黒髪セミロングのその少女はさっきから俯いたまま。

「・・・・」

奏太は気にせずに手当てを始める。

おそらくこの子は一年生だろう。制服がまだ新しい。

「・・・はい、出来たよ」

「あっ・・・ありがとうございます!」

その少女はその場から動く様子が無かったので奏太は少女を放置して、保健室を出た。


その日の放課後。優弥は一人、雨の中を傘も差さずに歩いていた。

天気予報では晴れと言っていたくせに急に雨が降ってきたのだ

『最悪・・・。てか奏太一緒に帰ろうって言ったのに何処いったの?!』

一緒に帰ろうと約束した奏太がいつの間にか帰っていたのだ。

「ねぇ!!傘、一緒に入らない?」

急に後ろから叫び声が聞こえた。

振り向いてみると後ろで傘を差してこちらをずっと見ている少女がいた。

膝に絆創膏を貼った、黒髪セミロングの少女。

見るからに1年生だ。まさか優弥を同級生だと思っているのか?

そう考えると優弥は思わず笑ってしまった。

『君、1年生でしょ?』

「え?」

自分が3年生だというとその子は驚いていた。

やっぱり優弥を同級生だと思っていたらしい。

少女は、三波小雪だと名乗った。

「あの・・・」

駅へ向かいながら他愛無い話をした後、小雪は恥ずかしそうに優弥に聞いた。

「かっ・・・彼氏って、いますか?」

『何それ。告白?』

思わず笑ってしまう。本当に可愛らしい子だ。

『・・・いるよ』

「ほっ・・・本当ですか?!」

小雪はいきなり顔を上げた。

『でっでも!彼氏いるっていっても向こうは何で私選んだのか知らないし、ほんとに好きかもよくわかんないしっ!』

優弥がそういうと小雪は何か考えるように俯いた。

『何?好きな人でもいるの?』

「えぇ?!そ・・・んなっ///」

おそらく図星だろう。小雪の顔が真っ赤だった。

そんなこんなしているうちに、駅に着いてしまったので優弥は小雪と分かれた。

(・・・思えば、奏太が私の何処が好きかなんて・・・聞いたことないなぁ・・・)

不意に、そんな疑問が頭に浮かんだ。


優弥は定期を駅員さんに見せてホームへ行くと、そこには見慣れた人物がいた。

奏太だ。髪の毛がぬれている。

『あれー?奏太先に来てたのー?!探したのに何処にもいないんだもん!』

「・・・雨降らないうちに帰りたかったんだよ」

『結局ぬれてるじゃん』

優弥は鞄からタオルを取り出して奏太の髪の毛を拭いた

『・・・・・』

ふと、その手を止める。

「・・・?なんだよ」

『奏太は私の何処が好きなの?』

「は?・・・・何処でもいいだろ」

そういって奏太は視線を逸らしてしまった。

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