#101 海。
「あ!ねぇねぇ、あれみて!」
水族館を適当に歩き回ってると叶が急に人集りの方を指で指した
何かと思い、近付いてみるとテレビの撮影をしているようだ。
優弥は人集りの後ろの方で撮影を見ていると急に誰かに服の裾を引っ張られた
『・・・?』
振り向くと奏太が何処かに向かって歩き出していた
優弥は朝の会話を思い出す。
『あ・・・!』
優弥は千秋たちにばれないようにこっそり奏太に付いていった
『ねぇ、何処行くの?!』
奏太について来て水族館を出たのはいいが何処へ向かってるのかがわからない
「・・・さぁ」
『ちょ、適当に歩いてたわけ?!』
「じゃぁ何処行きたいんだよ」
優弥の前を歩いていた奏太が急に振り向いた。
『え・・・と・・・』
「・・・ほらな」
奏太が勝ち誇った表情で言って、再び歩き出す
『ぬぬぬ・・・う・・・海!』
「海?」
奏太が再び振り向いた
『だ・・・・だめ?遠い?』
奏太はその辺にあった道案内の地図で場所を確かめていた
「・・・・」
すると奏太は制服のポケットに入れていた手を出して、手を差し伸べてきた
『い・・・いいの?』
「・・・行きたくないなら別にいいけど」
『い・・・行く!』
優弥は差し伸べられた手をしっかりと握った。
『おぉー!沖縄の海♪♪』
さっきの場所から海までは結構近かったらしく、15分ほど歩くとすぐに着いた
「海なんか何処も変わんねぇだろ」
『何言ってんの。沖縄だよ、沖縄♪』
周りには一般客も数人いた。
『あ!そうだ!今年も海皆で来ようよ!!去年みたいに!』
「は?・・・めんどくせ」
『何か言った?』
「いや、何も。ほら、行くぞ」
奏太は優弥の手を強引に引っ張って歩き出した