#100 暑い。そしてジュース。
修学旅行2日目早朝。優弥は奏太に呼び出されて奏太達の部屋の前にいた
『どうしたの?こんな早朝に』
「お前のことだから目覚ましの時間を直し忘れて起きてるかと思って」
『う・・・』
見事に正解だった。優弥はすぐに話題を変える。
『そ・・・奏太こそなんでこんな朝早くに起きてんの?!』
「ここのベッド寝心地悪ぃんだよ」
立っているのが疲れたのか奏太は壁に寄りかかって座り込んだ
『んで、何?』
優弥は座っている奏太に本題を尋ねた。
奏太は少し間を空けてから口を開く。
「・・・・・今日の班別自由行動の時、こっそり抜け出せるか?」
『何で?』
優弥が聞くと奏太は立っていた優弥の腕をひっぱって、自分の顔の目の前に近付けた
「・・・・わかんないの?」
『な・・・何?!ていうか近い!』
「お前はあほか」
『だから何・・・・』
奏太は急に不機嫌そうな、少し照れたような表情になっていった
『・・・あ』
2人で抜け出す、ということなのだろうか
優弥が気付いたのと同時に奏太が立ち上がった
『えっと・・・もしかして』
優弥の言葉を遮るようにして奏太が優弥の頭を少し撫でて部屋へと戻っていってしまった
『・・・・///』
班別自由行動は特に先生に何も指示はされていない。
班のメンバーで沖縄を適当に巡れば良いのだ。
「沖縄暑っ・・・」
沖縄を適当に巡っていると千秋が突然騒ぎ出した
『ねー。しかもすっごい晴れてるじゃん』
優弥は空を眺めた。・・・暑く、眩しい。
ふと、後ろにいる奏太をみると一人でジュースを飲んでいた
『ちょっと!!何一人でジュース飲んでるの!?ずるい!』
「は?ジュースくらい自分で買えよ」
ふと、そこに数人の女の人達が奏太達を見てひそひそを話しているのが聞こえた。
何を言っているのかわからない。沖縄の方言だろうか?
そんな優弥の隣に静香がやって来て、小さな声で話し始めた
「あの男の人達かっこいいねーって言ってるんだよ」
再び女の子達の会話を聞いてみる。
静香によると、どうやら優弥は奏太の彼女に見えてないらしい
『むー・・・』
不機嫌な顔で女の子達を見ていると奏太がジュースを押し付けてきた
「このぐらい自分で買えよ」
『いや、そのことで怒ってたわけじゃ・・・』
でもそのおかげで女の子達は優弥が彼女だと思ってくれたらしい
『・・・もっとキモイ人と付き合えばよかった』
「は?」
優弥達はとりあえず静香と叶が行きたがっている水族館を目指した。