肉の化身のΨ難
N「肉の国の王子が転生したら現代日本でダイエットさせられました。バージョンりどらじ」
N{第二話 肉の化身のΨ難}
N「ミートキングダム第一王子にして英雄「メタボリック」の称号を賜りし勇者カズキは、ある日心筋梗塞で命を落とし謎の熊耳少女「熊神」にダイエットをするよう強制され異世界「地球」の日本と言う国に飛ばされてしまう。」
カズキ「ま、100キロを超える豊満な肉体を持つ俺ならばどこに行っても人気者間違い無しだから問題ないだろうがな」
N「心筋梗塞に引き続き2度目の意識喪失から目が醒めると、カズキはめちゃくちゃ狭い空間にいた。」
カズキM「さっきまで熊耳少女とだだっ広い白い謎空間にいたのに、この空間は打って変わって狭いし、薄暗いし、不衛生だし、なんだか臭い。
なんだここ??」
ファリス「ここは便所だぜマスター」
カズキ「うわビックリした!心の中読まれた!?気持ち悪い!!」
ファリス「気持ち悪いのはお前の体型だ。」
カズキ「は?この豊満な肉体を気持ち悪い?はぁ・・・これだから変態は・・・ん?いやさっきと声が違う?いやそれより何より性別が違う。誰だ?」
ファリス「ここだココ!ココだぜマスター」
N「カズキは辺りを見回りてみる、、、が四方の壁と足元の穴の空いた謎の椅子以外のものは特に見当たらない。」
カズキ「どこだ?どこから話しかけている?」
ファリス「アゴの肉が邪魔で見づらいかもしれないが、お前の肩の上だぜ、マスター」
N「言われて右肩を見ると10cm程の人、いや妖精の様な羽の生えた物体がカズキを冷めた目で凝視していた。」
カズキ「うお!?ちっさっ!!え?何お前!?人形??フィギュア??」
N「ちなみにフィギュアとはミートキングダムで大流行りしているサブカルチャーで豊満な肉体の美女やメタボなヒーローを模った小型の人形の事だ。
特に人気なのは大人気アニメ「ミートボールZ」の主人公「ナニカクウ」のフィギュアで贅肉の再現率の高さからプレミア価格で取引される程だ。」
カズキ「しかしこのフィギュア、ナニカクウに比べると何という完成度の低さだろうか。
身体は基本スレンダーだし所々に筋肉が付いていてバランスが悪い。
やはり男はボンボンボンのドラム缶体型、もしくはバルーン体型で有るべきだろ?」
ファリス「お前の特殊な趣味はどうでも良いわマスター」
カズキ「うわっ!?また喋った!引くわー。」
ファリス「マスターの国ではどうだったか知らんが一般的な世界では俺の体型が好感度が高いフォーマルスタンダードだぜ。」
カズキ「バカな!?・・・てかお前誰?」
ファリス「俺は【ファリス・リウ】、酒と遊戯と電波の神【ゴッドベアーザオーバーリラックスアンダーハニーイーツ】様が遣わした異世界ナビゲーションシステムだ。」
カズキ「え?リリス・ファウ?」
ファリス「違う、ファリス・リウだ。」
カズキ「エルガイムの・・・」
ファリス「違う。」
カズキ「川村万梨阿・・・」
ファリス「違う。」
カズキ「・・・ま、まあいいや。で、この狭い空間はなんなんだ?ここが異世界なのか?」
ファリス「さっきも言ったがここは便所、つまりトイレだぜマスター」
カズキ「は?トイレ!?」
N「便所、トイレとは魔力の低い一般市民が排泄行為の後排泄物を流す場所である。
しかし、魔力の高いカズキの様な一流のメタボリックにとっては無縁!
何故ならば食料が消化器官を通り大腸から肛門に至る寸前で魔法で異空間へと飛ばしてしまうのだから!
つまり、エリートメタボリックは便所になど行かないのだ!」
ファリス「残念だがマスター、この異世界地球では魔法も魔力も存在しない。」
カズキ「はっ??ま、魔力が存在しない??言っている意味が全く解らないんだが??」
ファリス「つまりマスターも便所で排便をしなくてはならない。残念ながら。」
カズキ「う、嘘だろ??便所なんて使うの子供の頃以来だぞ!?
若干やり方忘れてるぞ!?・・・うっ!?そ、そういえばさっきから急に便意が!」
N「本来、この位の便意になると身体にオートで付加している魔法【ベンヨサ=ラーバ】
略してベラバが発動して排泄物を異空間の彼方へ消し飛ばしているはずなのだが、
確かにいつもなら肛門に感じる魔力を今は一切感じない。」
カズキ「あー!あー!ヤバイ!これはヤバイ!王子ピンチっ!
ベラバ発動してないー!ちょ、ちょっとイタスから出てってくれるファリス君っ!」
N「限界を感じ便所を使う覚悟を決めたカズキの必死の呼びかけをガン無視するファリス。」
カズキ「ちょ、ファリス君?ファリスさん!?出るから出てってくれない!?」
N「さらに必死の形相で呼びかけるカズキに、10cmのミニマム妖精は無慈悲な一言を浴びせた。」
ファリス「俺はマスター専用の異世界ナビゲージョンシステムだから、側を離れる事は出来ん。気にせず…いたせ。」
カズキ「ウボォワオバラッシャーッ!?!?」
N「意味不明な叫び声を上げ、カズキは王子としての、、、いや、人としての尊厳を一つ失ったのだった。
続く→」