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恋愛小品集

あの夏

作者: 香月よう子
掲載日:2020/08/05

 週末の夏のある昼下がり。


 仕事は休み。

 貴重な時間。


 躰の弱い私は空調は入れず、扇風機の生ぬるい風を浴びてベッドに横たわっている。

 リネンの薄いブランケットを何も纏っていない素肌の上から巻き付けて寛ぎながら。


 さらさらとしたリネンの肌触りが心地よく、ウトウトと意識が夢と現の彼方へと飛び始めていた。


 モノトーンの世界に、彼が現れる。

 "りょう……!"

 私は彼の背中を追う。


 "あやか"

 彼は振り返り、愛しそうに私の名前を呼ぶ。

 "涼……"

 私は彼の元に駆け寄り、彼の胸に顔を埋めようとした。


 しかし、彼の姿は私の身をスッと通り抜ける。

 そして、彼は"彼女"の手を優しく取り、闇の彼方へ消えていく。


「……夢」

 流れる涙が私の火照る頬に冷たい。


 涼……。

 あの夏に出逢い、身も心も愛し合った。

 陽射し眩しく、世界の全てが私達に祝福を与え、輝いていたあの夏。


 でも。

 彼は私とは違う彼女と……。


 西の窓から明るい日差し。

 物憂く気だるい夏の午後。


 煌めいていた夏の光に記憶を重ねながら、私はただ冷たい涙を流すだけ……。



本作は、銘尾友朗さま主催「夏の光企画」参加作品でした。


参加させて下さった銘尾さま、そしてお読み頂いた方、本当にどうもありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 企画より拝読いたしました。 悲恋モノですね。 これだけの感情を抱えるほどですから、大恋愛だったのでしょう。 喪失感は相当なモノでしょうが、こんな恋愛はしたことないので、経験という意味では…
[一言] 夢と現。 二度と戻らぬ煌めいた恋の記憶……。 儚げで美しいと思いました。 失恋の記憶が夏に結びついていると、夏が来る度に辛く感じそうですね。
[良い点]  400字ほどの恋物語。  書こうと思えば、恋物語は短かくても、それに合わせて上手に書けるものなんだと思わせてくれました。  詩的で感性ある文章でした。  上手です。
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