王都!
朝から父と母はバタバタしていた。今日はアルトが王都の学園に試験を受けに行くからだ。受かった場合そのまま学園の寮に入るため父と母はアルトと暫く会えなくなるため母はお弁当作ったり準備なりで忙しくしていて父はなんとなくソワソワしていた。
『アルト、ベル君のお弁当も作ったから王都に着いたら食べるのよ』
『うん』
『あと準備は大丈夫なの?』
『うん。昨日何回も母さんに確認させられたから大丈夫』
『ならいいけど、そのまま寮に入ったら後から荷物を送ればいいしね』
『うん』
そんな感じでご飯を食べ終えてベルとの待ち合わせの時間が近づいてきたので
『そろそろ母さん行くよ』
『もうそんな時間なの!お弁当ちゃんと食べるのよ』
『食べるよ。じゃあ行くね』
父が珍しく
『アルト自分の信じる道を行きなさい。アルトが今までしてきた努力を全部出して全力でやってきなさい』
『はい!父さん』
『うん。大きくなったなアルト。行ってきなさい』
『はい!行ってきます!』
アルトはベルとの待ち合わせ場所に向かうともうベルが待っていた。
『アルトおはよう』
『おはよう!やっとこの日がきたな!』
『うん。2人で頑張ってきたし受かりたいね!』
『違う絶対に2人で受かるんだよベル』
『そうだね』
この3年でベルは大きくなっていた。僕と変わらなかったベルが今では見上げて話さないといけない。悔しいがアルトはあまり背が伸びてなかった。
あとゲイルもやはり試験を受けるらしく姿が見えた。ゲイルも3年でかなり体が大きくなっていた。噂では僕達とやり合ったあとかなり家の方で鍛えていたらし
い。
『やっぱりゲイルもいるのか!負けられないな』
『うん。頑張ろう』
この村から王都までは馬車で3時間ぐらいだ。王都に着くのは丁度昼時に着くのでご飯を食べてから試験に向かう予定でいる。
試験は1部と2部になっており、地方から来る生徒の為にそうなっている。1部は王都に住んでいる人など、2部は地方から来る生徒の為にお昼過ぎから試験が始まるのだ。アルト達はもちろん2部からであるので時間にはある程度余裕があるのだ。
馬車の中で話をしているとゲイルから話しかけられた。
『おい!前は悪かった』
アルトとベルが一瞬何が起こったかわからなかった。あのゲイルがまさか謝るとは思いもしなかったからだ。
『え?うん』
『それだけだ』
『ゲイル待てよ』
『なんだ?』
『いやお前が謝ってくるとは思わなくて』
『ふん!俺は今まで自分が偉いと強いと思っていたがあの日負けてから俺は変わった変わらないと強くなれないと』
『ふーん』
『なんだよ!』
『ゲイルこれからは仲間でライバルだ』
『ふん!俺が受かって泣きながら帰るなよ。弱虫アルト』
それだけ言うとゲイルは馬車の自分の場所に戻り目を閉じていた。
『あのゲイルがね』
『うん。アルト大変だよ。これでまた落ちる訳にはいかなくなったね』
『まあー落ちる気なんてないからな。変わらないよ』
暫くして王都に馬車は到着しアルトとベルが見上げていた。
『おー凄いなベル。村とは全然違う人も沢山いるし』
『うん。こんなに沢山人を見たの初めだしなんかいい匂いもするよ』
『確かにいい匂いがする。母さんの弁当食べて試験会場に行くか』
王都の公園みたいな場所でアルトとベルはお弁当を食べて試験会場に行く途中には色々お店がありキョロキョロしながら向かっていると
『あれ?どこかで見たことある様な』
『どうしたの?』
『見たことある人を見たような?まあーいいや行こう遅れたら大変だ』
アルトが見たのは青い髪の女性で綺麗な人だった。
試験会場に着くと沢山の人が受け付けをしていてアルト達はようやく終わるとゲイルもいた。
試験は実技と筆記試験とありまずは筆記試験からである。そしてこの試験に受かるのは才能ある人が一握りであり学園に入れる事がまず名誉な事なのである。
卒業まで頑張れば将来困る事がないため皆必死に頑張りこの場所に来る。
『うーん。なんかみんな凄そうだよ』
『なんだよベル!もう諦めるのか2人で受かるんだろ』
そこに田舎貴族達が偉そうに歩いていた。
『どけろ!お前達庶民が俺の前を歩くな!邪魔だ』
『なんだよ!お前達の方が邪魔だ!』
『聞こえないのか?邪魔だ』
田舎貴族の周りの人がアルト達を押しやり道を開けた
。
『なんだよあいつ』
『まあまあアルト落ち着いて試験に集中しよう』
いつの間にか後ろにいたゲイルが
『昔の俺みたいだな。まあー関係ないがな』
アルトは怒りが収まらないが試験は待ってくれないので筆記試験に集中することにした。
試験官の始まり合図とともに皆ペン走らせ問題を解いていく。そしていよいよ実技の試験が始まろうとしていた。
試験官から説明が始まる
『実技の試験を始める前にルールを説明する。今いる君たちが一対一で対戦してもらいその内容を参考にして合否を決める。ルールは今自分が持てる力を全部出して戦ってもらう。あとは相手が降参しても勝ちである。ただし負けたからと受からない訳ではないので無理はしないでほしい』
『あとは対戦相手は呼ばれた者から出てきてこの会場で戦います。壊れたりしないので存分にやってほしい以上だ』
『ては始めようか』
いよいよ試験が始まる。
アルトとベルそれぞれ真剣な眼差しで試験を見ていた。するとベルの名前が呼ばれた。
『ベルの方が先に呼ばれたな』
『アルト先に行ってくるね』
『ベルなら大丈夫だ!やってこい』
『うん』
ベルの実技試験が始まろうとしていた。