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不適合者

素人が暇潰しに初めて書くので、クソつまらないと思いますが、ご勘弁ください。

「入学おめでとう、いずれ勇者となる物よ。入学にあたり、お主に伝えなければならぬことがあるんじゃが…」


白髪の老人が勝手に話を進めていく。

あまりにも突然の出来事で俺自身も何も分かっていない。


「お主は、突然の入学なもんじゃから、同学年在校生たちより少し遅れておる…」


オイ。俺ここに来てからまだ何もしゃべってないんだけd…「現在、在校生は入学してから3ヶ月…もうかなり実戦的な授業になってきておる」

「3ヶ月分の遅れを取り戻すのは、おそらくお主でも不可能…そこで…、なんじゃが……」


「お主には在校生と同じ実戦の授業から始めてもらう」



この瞬間、俺はいつか必ずこのジジイをぶっ飛ばすと決めた。






事の発端は、八ヶ月ほど前、中学校を出席日数ギリギリで卒業した俺は、高校にも行かず家にひきこもりら、ネトゲやエロゲを謳歌していた。

ゲームに疲れ、何週間ぶりか自分の部屋を出る。リビングのソファに勢いよく飛び込みテレビの電源をつけると、突然ニュースの大きな「速報」という文字が目に入る。


「…繰り返しになりますが、日本時間午前2時35分頃、北極に縦横3m程の巨大隕石が墜落しました」


(3mって、マジかよ…)


しかしニュースの映像には、隕石墜落によるものか、北極の氷が広範囲に渡って崩壊している。


(まあ、ここ日本だし)


そうしてゲーム再開の体力を回復させた俺は自室に戻った。しばらくは何も無い、普通のひきこもりニート自堕落生活が続いた。




しかし「ソレ」は突然やってきた。

あの巨大隕石墜落からおよそ7ヶ月。両親が仕事で家にいないので、いつも通り画面の世界に入り浸っていると、インターホンが鳴った。


「…」


ぴーんぽーん。(そういやもうしばらくこの部屋から出てねーな…)


「…」


ぴーんぽーん。(しつこいな)


「…」


ぴーんぽ…「はぁぁあいどちらさまでしょうかぁあ…、あ?」


痺れを切らし玄関に出てみれば、サングラスをかけ背広を着ている怪しい雰囲気の細身な男が立っていた。身長は俺より高いから180cmくらいある。年齢は…30歳ほどだろうか。


「あの、どちらさまでしょうか…」


俺がいらぬコミュ障を最大限に発揮しおずおずとしながら尋ねる。

すると男は静かに、抑揚のない声で口を開く。


「あなたが、流川恭介様でお間違いないでしょうか」


突然知らない人に自分のフルネームを言われぎょっとする。


(宅配便だっけか?フィギュアもエロゲも注文してねーぞ?)


俺が黙り込むとその男も黙って俺を見下ろす。


(ここは違うって言った方がいいのか…?いや、でも嘘を言うのもちょっとな…)


「は、はい…そうですが…」


正直になることにした。

すると男はそれを待っていたかのようにすぐに話し始める。


「突然ですが、機関の検査により、あなたがマナ適合値かが異常であったことが判明しましたこと、ご報告致します。つきましては、東京都立第1勇者学校への入学をお願い致します」


(は?勇者?何言っんてんだこいついい歳して)


そんな俺の内情も無視して、男は続ける。


「八ヶ月程前に、北極に巨大隕石が墜落したのはご存知でしょうか」


(ああ、あったな、そんなの。)


「まあ…そんときニュース見てたんで…」


「隕石墜落の翌日、現地の調査隊が向かうと、大変なことが分かったのです」


俺の返事も聞いただけで無視し、男は続ける。


「隕石の含有物質を調べると、鉄3%、ニッケル2.4%、その他5%は炭素、クロム、コバルトであることが分かりました」


(なんで含有量少ない物質から言うんだよ…)


「…残りの90%くらいは何なんですか」


男の変な言い方に敢えてのることにした。


「それが、不明なのです。まだ確認されていない未知の元素が隕石には約90%も含まれていた、というのは大問題でした」


(だろうな…宇宙からきた未知の元素なんて世界中の科学者とかが喉から手が出るほど欲しがるよな)


「ちなみに、我々はその未知の元素を『マナ』と呼んでいます」


(どうでもええわそんなん)


「まあそれは置いといて、それとは比べにならないほどの問題がありました」


「問題?」


「ええ。隕石墜落から約1週間後、そのマナが、日本やアジア、ヨーロッパ各地などで検出されたのです」


「ッ!?」


本日2度目の驚愕である。


「まだ断言は出来ませんが、簡単に言うと、大気圏に突入した時に砕けて散った破片が世界各地に広まった、というのが有力でしょう」


ずっと疑問に思っていたことがある。


「1ついいですか?」


別に男の説明に対してではない。


「構いませんが」


そして俺はその疑問、否、矛盾を口にする。


「俺、隕石墜落をニュースで知りましたけど、『未知の元素』が日本とかで検出されてたら、それもニュースになるはず……。しかし、普段からネットを漁りまくってる俺でもマナなんて聞いたこと無かった…何故ですか」


(まさかね…)


俺は敢えてその「まさか」を口には出さなかった。なぜなら、その「まさか」であって欲しくなかったからだ。

しかし、男は残酷にもこう言い放った。


「あなたのお察しの通り、国が…、世界がマナが検出された事実を隠蔽しているのです」


(やっぱりかああああ〜)


嫌な予感的中。今度は驚かなかった。これも成長だろうか。


「ですがそれにも理由があります。その1つは、まず先程も述べたようにこの物質が公になれば、世界が混乱します。それを防ぐため。もう1つは、マナが一部の人間の身体に大きな影響を与えているからです」


「はッ!?」


今日イチで驚いてしまった。やはり成長していない。いや、問題はそこではない。


「……それは、どんな影響なんですか」


聞きたくはなかった。なにせ自分に影響があるからこそこの男が来ているわけであるから。

考えられるのは、何かしらの病気ぐらいか。喘息か、脳に対する影響か、筋肉や骨を悪くするか……


「人間の身体の構造や能力を根本から作り替えてしまいます」


「ハァァア!?」


そろそろ心臓がアブナイ。


どういうことだ?人間の構造と能力を作り替える?意味がわからん。そもそもそんなことが可能なのか?どのように変化するのか?その「変化」は人間に害を与えるのか?


様々な疑問が膨らんでゆく。これだと脳までアブナイ。


「あなたに分かりやすく申し上げますと、適正値が高い人が異能力を得て、魔法などを使えるようになったり、身体能力が飛躍的に上昇したりします、故に私たちは彼らを『勇者』と呼ぶことにしました」


(なんつーか、適当だな…もっと他にカッコイイ呼び方あったんじゃないか?)


もはや驚きすら感じなくなったのか、だがこの時だけはいい意味で、驚いていた。言うまでもない、自分が普段3次元では絶対体験できない2次元的現象…アニメ、ライトノベル、マンガ、ゲーム…それらが現実に存在するなんて、感動の一言に尽きる。


「ですが」


突然口調がこれまでよりも重くなる。


「逆に適正値が著しく低い人は正常な思考を失い、他人を襲ったり、物を破壊したりするのにも関わらず、身体能力は適正値が高い人と同じように上昇します。皮肉な話です」


「まあ要するに、影響のない人を±0とすると、適正値の高い、『勇者』は+1以上で、数字が大きいほど、能力が強くなる訳です。そして、適正値の低い人は-1以下で数字が小さいほど残虐性が増し、乱暴になるのです」


(あっそういやまだ名前聞いてねえな)


「あのー、そういえばまだ名前を聞いてないんですけど…」


「これはこれは、申し遅れました、東京都立第1勇者学校副校長、月島と申します」


(副校長なんかーーーーーい、それ早く言わんかーーーーーい)


まあ、とりあえずそれは置いておこう。


「では月島さん、その影響が出てる人ってどれくらいいるんでしょうか?」


「この『未知の元素』は、未成年にしか影響を与えないので、日本だけだと、1万人程度かと。成人に影響がない理由はハッキリしていませんが、私の憶測では成人が子供にはない、何らかの耐性があるからだと踏んでいます」


「そしてその影響を受けた人たちのうち、『適正値が高い人』たちを集め、その力を悪用しないよう教育したり、適正値が低い人を抑えられるよう指導ため設立されたのが東京都立第1勇者学校です」


(ああ、そういうことか)

ようやく全てを理解した。

先程まで混沌としていた脳内の思考が収束していく。

そして1つの結論となる。


「じゃあ…まとめると俺は」


「適正値が高いってことなんですね?」



もし俺が勇者になれば、適正値の低い人を抑える、言い換えれば、「闘う」ことになる訳だ。

………

絶対無理だな。


俺運動音痴だし!強いのゲームの中だけだし!まあ現実で無双ハーレムできたらなあとは、思わなくもないが。


しかしそこで。月島が申し訳なさそうに言った。


「違うんです、それが」


「え?」


「…あなたの適正値を血液から調べさせていただきました」


(ああ、そういや1回だけ高校行った健康診断の時血液検査したっけ)


「その結果がこれです」


月島は高そうなブランド物の鞄から書類の束を取り出し、さらにその束から数字などが書かれているものを俺に渡す。見てみると、血液検査の結果の中に、1つだけ太線で書かれている項目があった。


mana:-389(→0:正常 +1以上:適合者 -1以下:不適合者)


「-389…?」


「はい、あなたはマナ『不適合者』なんです」


(おいおい、なんか社会不適合者って言われてるみたいで気づつくなあ……あながち間違ってないけど)


「しかも数字ヤベぇな……あっ、丁寧語やめていいですか?ぶっちゃけ疲れるんで」


そう、丁寧語は疲れる。実際全く尊敬していない相手に上っ面だけ繕っても意味がない気しかしない。中学校でも教師に対して丁寧語を使わなかった、無論教師にはよく思われなかったし、クラスメイトにも白い目で見られた。そして学校が嫌いになり、卒業は出来たものの、引きこもり気味になった。

月島は…丁寧語を使わないと怒る教師なのだろうか。しかし

「ええ、構いませんよ」

あっさり許諾した。若干ひきつっていた気もするが。


「この数値ってどれくらいがやばいんだ?」


宣言通り、タメ口を使う。


「性格面では、-10くらいまでなら少し憔悴してしまうくらいですね、-50近くなってくると、もともと優しかった人でもすぐ暴力を奮ったりするようになり、-100を超えるともう意識は残ってないでしょうね。能力面は、最初にも言ったように、数字の絶対値が大きくなるほど、強くなります」


「じゃあ俺ってヤバいんじゃ…」


「はい、理論通りならとっくに何百人、何千人と殺してます」


「殺人鬼なんてレベルじゃねえ…」


だが、俺は通常の意識を保っている。いつも通りだ。俺は人を殺したいなんて思わない……ゲームの中では違うけど。


「何故あなたがこの数値で平然としてる理由は全く予想すらできません。しかし、危険分子であることには変わりない…いつあなたの意識が保てなくなるか分かりません。つまり、あなたの監視という意味も含めて、東京都立第1勇者学校に入学して頂きたいのです」


「それに…」


月島はまだ続ける。


「御両親から許可は頂いております」


(親の許可!?聞いてねーぞ!?いつの間にあいつら許可したんだよ!?)


月島がまた1枚のプリントを俺に寄越す。同意書、だった。そして、一番下にあった印は他でもない「流川」の印だった。


「どうでしょう」


「仕事早えな…」


まあ俺親になんもしてねえしな…

新しい世界で生きていくのも悪くないかもしれない。

でも、やはり…


「学校が、嫌いですか」


月島が真顔で、気を遣うこともなく問うてくる。


「嫌いだな」


俺が無表情で、間を置かずに即答する。


すると、月島はしばらく黙り込んで


一言


「3000万円」


と言った。


(急に縁のない数字を言われても困るなあ…)


「東京都立第1勇者育成学校に入学して頂いた際には、現在在学中の高校の退学、我が校の全寮制、学習補助費などの理由で、計3000万円の補助費を国から支出させていただきまs」「わかりましたいきます」


男の会話を遮って、俺は即答してしまった。



というか、最初からお金くれること言われればホイホイついてったんだが。






「ざけんなよ?なんで急に実戦なんだよ」


そしてその後、様々な手続きを終え、今に至る。


「まあまあ、落ち着きなさい。我々も別に安易な考えでこのような判断をしたわけではないのじゃ…」


随分遠回しだな…


「じゃあ早く説明しろや」


「口が悪いのう…このクソガキが…」


「お前もだろ…」


「まあいい……お主、中学校に通っていた時、問題児ではあったものの、成績はよかったじゃろ?」


「まあ、悪くはなかったな」


実際、大体いつも学年の上位10番には入っていた。


(えっまさか…)


「お、おい…まさか、かなり成績いいからって3ヶ月分くらい大丈夫っしょって判断?」


(まさか…だよな。この期に及んでそんなこと…)


「え、違うの?」


校長が点みたいな目をして答える。


「まあとりあえず、明日から1年Ⅰ組で頑張れや」


「おい、お前あの『じゃ』っていう喋り方どうした」


「うるさいのじゃ!お前は黙って入学すればいいんじゃ!兎に角これからがんばるのじゃ」


どうやら、もう諦めた方がいいらしい。こいつは話が通用しない。ボケてる。まあ

時期に死ぬだろうし、しばらく遊んでやろうか。


……それより、こいつには言わなきゃならんことがあったな。


俺は校長の目の前まで歩いていく。



そして、





「いい加減3000万円出せよ。いつまで先延ばしするんだよ」


その後校長は自分の額が焼けるほど地面に頭を擦りつける羽目になった。


今後も不定期に更新する予定です。

面白いと思ってくれた方、これからも読んでいただけるとありがたいです。

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