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ベテラン勇者のおつかい  作者: Luoi-z-iouR(涙州 硫黄)
水の国
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水の国 ⑤最低な奇襲

「ということで、いくら先輩のパーティがごはんを分けてくれるからってがっつくのはダメっスよ」

「ごめん。お腹空いちゃって」

「僕も結局いっぱい食べちゃった」

「…しょうがないとはいえ人様のご飯を横取りするようなことはしないことっス。まぁ雷帝丸先輩も快くご飯を分けてくれたから結果オーライっスけどね。さっき先輩と話したら明日の朝はそれなりに早くに出ることになったから早く寝る支度するっスよ」

 フロウムは自分のパーティメンバーに注意喚起と連絡事項を短く済ませて明日に備える。一方雷帝丸のパーティは話し合いに時間がかかっていたようで、雷帝丸の顔に疲労が浮かんでいた。

「はぁ…というわけだ。コハクは必要以上にダル絡みしない、シクロは問題起こさないように」

「はーい。ちぇっ、せっかくお友達になれそうだったのに」

「大丈夫よコハクちゃん。そのうち仲良くなるわよ。ところで腐れ勇者、水の国に行くのは大丈夫なんでしょうね? あたしたち一応リュウスイから逃亡してんのよ」

「話を聞く限りはベンゼンの爺さん、魔王討伐の依頼主な。でその爺さんが先手を打ってくれてる。あの爺さんが相変わらずすげぇのはわかったがとりあえず明日だ。いつもと大差ない感じてここから移動するぞ」

「はいはい、さっさと寝ろよ腐れ勇者」

「おじちゃんおやすみー」

「パーティ持つのも大変なんだな」


 二つのパーティはそれぞれの命令を受けて簡易的に作ったベッドで床に着く。だが雷帝丸だけはそのまま地面に寝転がることになった。雷帝丸が川に流された頃の二人は食料調達もそこそこに寝床を作っていたが二人分が限界だったようで、雷帝丸も直に地面で寝ることには慣れていたためそのまま眠りに着いた。だがその後で事件が起こってしまった。


「「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!! 」」

「敵襲!? 」

「っ!!? 」

 二つの悲鳴が真っ暗な川と森を交差して勇者二人が飛び起きて辺りを警戒しつつ仲間の状況を確認する。雷帝丸の視界には寝ぼけるコハクがいるが、すぐそばでコハクを抱くように寝ていたシクロがいない。しかもコハクは再び眠りについてしまった。対するフロウムは僧侶のコレシスに目を配ると既に武器と思われる前腕と同程度の長さの棒を手に取り戦闘態勢に入っていた。だがレンジャーのケラがいない。悲鳴の主はおそらくコレシスとケラだと嫌でも感じ取り二人の勇者は背筋が凍り付く。雷帝丸はあれだけ強いシクロが悲鳴を上げる程の強敵がいた中で夜を明かそうと考えてしまったことに、フロウムはケラが索敵を済ませていたはずなのに呑気に寝てしまったことが悪手になったのかと後悔する。だが、その後悔は全く意味はなかった。


「うわああああああああああああああああああああああああああああああん!! 師匠ぉぉぉぉぉ!! 」

「け、ケラ、とりあえず服を着よう。さあこっちへ……」

 僅かに燃えている焚火の明りを頼りにケラに夜這いを仕掛けようとしていたのはシクロだった。ケラを焚火の近くに運んで視界を確保して準備万端と言ったところだったのだろうか、シャツが胸の上まで捲り上げられてズボンとパンツを下ろされて下半身が丸出しだった。その場で大粒の涙を流して泣き叫ぶケラ。コレシスは武器をしまってケラに寄り添い、フロウムとコレシスはケラの精神的なケアを始めるのであった。一方シクロは自分が夜這いした相手に衝撃の事実が隠されていたことに対して号泣していた。雷帝丸の股間を粉砕した過去がありながら、あまりの衝撃で股間を潰せずに悲鳴を上げたことが彼女にとっていかに絶望に包まれた出来事だったかを物語っている。


「ひっぐ、ひっぐ……」

「……何してんだてめぇ。泣きてぇのはこっちだよ」

 雷帝丸は珍しく仲間に怒り心頭である。当然である。額に血管が浮かび、修羅や般若のような人には見せられない顔を浮かべてシクロを睨みつける。雷帝丸からすれば後輩のパーティメンバーを犯しかけたことになる。常識的にあり得ない行動なのだがこのシクロは常識が欠如しているため通常の人間では理解に苦しむ点があまりにも多すぎる。

「だって……あんなにかわいい顔してるんだから女の子だと思うじゃない! あたしは、女の子を堪能したかった! なのに! なによあれ!! 男じゃない!!! あたしが男だって見抜けなかったくらいかわいかった!! 」

「そういうこと言ってんじゃねぇ! 」

「うるさいわね! 女の子だと思って襲ったらち〇こ付いてんのよ!? しかも20センチはあったのよ!? あんなにかわいい顔して化け物を股に飼っていたのよ!? 男の娘なの!? あんなのあり得ないわよ!? あんたのより2倍くらいあるわよ!? 」

「てめぇは黙れ!! 俺にち〇こねぇんだよ!! いい加減にしろよ!? 泣いて許されると思うなよ!? 仲間で女で俺がリーダーだからってなにもお咎めなしとか思ってんじゃねーよ!! 」

「ぐすっ……はっ! そういうことか……さすがコハクちゃんね……」

「あ"? 」

 反省していない様子が拍車をかけて雷帝丸の溜まりに溜まったシクロへの不満が溢れ出す。精神的に堪える罵倒が続くがこれでも抑えている方である。だが余計な言葉が雷帝丸の怒りをさらに買ってしまう。

「コハクちゃんはあの子…いや、あの野郎のことを“ケラちん”って呼んでたけど男の娘であること、股間が大きいことが既に分かっていたということ。それで“ケラのち〇〇ん”、略して“ケラちん”ということか! 」

「夜明けまで説教してやる」

 その後本当に夜明けになるまで雷帝丸の説教が続き、明け方に雷帝丸とシクロはフロウムのパーティに謝罪した。



シクロさんにようやく天罰らしい天罰が与えられました。作者としても「コイツどうやったら痛い目を見るんだ? 」とか思っていました。なんとなく察していた方もいるとは思いますがケラは見た目女の子な男、つまり男の娘です。付いてます。

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