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ベテラン勇者のおつかい  作者: Luoi-z-iouR(涙州 硫黄)
水の国
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水の国 ③事故に注意、略して事故注

「川だーっ! 」

「そんなに騒いだらおさかな逃げちゃうよコハクちゃん」

「はぁ、はぁ、あのー? 疲れたんですけど? なんで釣りしようとしてんの? しかも釣り竿も銛も網も餌もタオルも着替えもなーんにも無いからね? 川だって危ないから入っちゃダメd…ちょ!? お嬢さん方!? 無邪気に川に突撃しないでいただけます!? 」

 雷帝丸は剣を下ろしてやんわりと警告するが、二人はそんな警告は聞く耳持たずで靴を脱ぎ裸足で川に入っていく。川で魔獣を倒すことなど完全に忘れて川遊びに夢中で水をかけあっている。キャッキャッとはしゃぐ彼女らはこれでも9歳と18歳。ある意味歳相応な反応だが雷帝丸はそれとは別の懸念をしている。

「水をかけあって楽しむのはいいんですけどね、服が濡れて服の内側が透けてしまいますよ~。前々から思ってたけどさ、シクロって乳だけじゃなく尻もいいよね。ボンッキュッボンッのいいお手本な体型じゃん? ってことはスケベな男からしたら需要めちゃくちゃあるし、男をとっかえひっかえしててもおかしくないくらい顔も整ってるじゃん? ヤバくね? それにコハク、お前ホントに9歳? 最近の子って発達良すぎない? 既に尻がエロいじゃんか? いやなんていうかさ、着替えが無いって言ってるのに川に突撃して服を濡らしてるせいでモコモコしたスカートがずぶ濡れになってぺしゃんこになってるんだわ。そのせいで尻のラインが丸見えなんだけど尻が子どものソレじゃなくね? 普段箒に跨ってたのと関係あるのか知らんけども。ガキンチョ好きの悪い大人が放っておかないくらいには可愛い顔してるだろう。いや、俺は巨乳の方が好きだからその価値を詳しく知らないんだけどさ。結論言うとエロい。特に二人ともケツがエロい。ケツだけにヘブラッ!!? 」


 雷帝丸が戯言を並べているとコハクの投げた石が投げた方向と180度逆の方向に飛んでしまい、奇跡的に雷帝丸の鼻の頭に直撃する。水切りをシクロに教えてもらって投げられたコハクの石は本来飛ぶべき方向とは真逆に飛んでしまったようだ。

「あ、おじちゃーん! 大丈夫―? 」

「あの変態なら大丈夫、うざい警告ぶっ放しておきながら実際止めようとしないで水で濡れたあたしたちをいやらしい目で見ようとしてたんだからバチが当たったのよ。ほら、現に鼻血を出して倒れてるでしょ? 」

「石のせいですよシクロさん」

 雷帝丸は起き上がって反論するが鼻を抑えていて恰好がつかない。これでも勇者である勇者雷帝丸。鼻血が収まるのをしばらく待ってから手と顔に付いた血を洗い流す。洗い流したところでジャージの裾で拭う。と、そこまではよかった。その直後だった。

「『ブラスター』っ! 」

「えっ? 」

 シクロとコハクが川の魔獣を狩り始めていたことに気が付かず、水面に魔術を仕掛けたせいで大きな波が発生した。川の真上には1メートル弱の少し狂暴そうな魚が何匹か吹き飛んでいた。だが魔術で発生した波のせいで膝を突いている雷帝丸を飲み込んだ。波が引くとそこには雷帝丸の姿はなかった。

「いいねコハクちゃんっ! はぁッ!! 」

 それに気が付かない二人はコハクが攻撃して岸や空中に打ち上げた魚を仕留めている。雷帝丸のことなど全く気にしていない。

「…うそでしょ!? 自分のパーティのリーダーが流されてるのにガン無視!? あり得ないでしょ!!? それでもパーティメンバー!!? 」

 後を付けてきた子どもは勇者の扱いに驚きを隠せず声をあげてしまう。だがその声は誰にも届いていないようで誰も反応していない。この間でもハープで音を鳴らし続けているがこの音も誰も聞こえていない。


「がぱっごぽぽぽぽぽぽっ!!! 」

 コハクの魔術で川に流されてしまった雷帝丸。溺れかけてしまっているのだが誰も気が付いていないせいで誰も助けに来ない。否、実は数人だけ知っていた。

「ぼぼぼぼっ! ぼぼぼっ! 助けてっ! みっさえっ! ぼぼぼぼっ!! 」

 雷帝丸は流されながら意識が遠のいてしまう。そんな中で雷帝丸の腹部に何かがぶつかってこれ以上流されることはなかった。

「きゃっ!? なに!? 」

 柔らかい感触が濡れたジャージ越しに感じる。丸太のようでありながらそこまで太いわけでもなくなめらかな肌触り。水の中にいながらもジャージ越しに感じる微かな温もり。わずかに見える青白い物体に染みついたようなこげ茶色の不思議な跡、水中では丸太のような何かの中心部と思われる個所に一つの浅い穴。穴の上下にはうっすらと美しい縦筋があり、それを頼りに上を向く。下も向いたのだが下には光が薄い。細い海草のような何かが丸太のような物から生えているだけだったため上はこちらではないと判断した。上を向くとやはり水面に近かった。太陽の光と穴の縦筋のおかげで見える水の外には、丸太のような何かと同じ色をした山が二つ、その先端にツンと飛び出る桃色の小さな果実がある気がしている。

「……えいっ!! 」

「かぼすっ! 」

雷帝丸は水の上から頭に衝撃を与えられてしまい、そのまま意識が水の中へと沈んで行った。



水難事故は泳げる人でも起こりうるので海や川では決して相手を溺れさせる危険のある行為をすることはやめましょう。また、飲酒後の水難事故も多いのでキャンプや海での飲酒後は極力水辺には近づかないようにしましょう。

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