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ベテラン勇者のおつかい  作者: Luoi-z-iouR(涙州 硫黄)
風穴の光
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風穴の光 ㉔不屈の塔

 コハクが病室を破壊して数時間後、コハクは一度病院に戻って破壊した病室を修復後、すぐにアミーを自宅に招いてのんびりと朝食を摂っていた。事情を知った雷帝丸とシクロはコハクとアミーを見送り。しばらくしてからマギカプリズンに向かった。

「ち〇こ再生させろ」

 唐突である。だが雷帝丸にとっては今回の戦いで股間の息子をシクロの握撃で粉砕されている。男にとって股間の息子を失うことは精神的にも肉体的にも絶大な負担がかかる。雷帝丸も例外ではない。だが魔術に長けた魔女ともなれば股間の息子を再生させられると考えているのだ。

「……いきなり下ネタなの? 」

「見た目は10いくつくらいだが騙されねぇぞ。300年生きてるとか言ってたから歳は少なくとも300歳以上だろう?だったら身体を治す方法だって知ってるはずだ! 復活させてもらうぞ、我が息子!! 俺のち○こぉ!! 」

「あたしからもお願いするわ」

 予想外なことにシクロからもフマルにお願いしてきた。雷帝丸の股間の息子を粉砕した張本人である。

「おぉ!? お前が言ってくれるのは予想外だわ! 言ったれ言ったれ! 」

「この男は全く反省してないからこの男の股間を再生させてあたしが再び粉砕してやるからお願いします! 」

「もうやめて!! 」

「離せ!! 」

「息子のライフはもう0だぁ!! 」

 雷帝丸は涙目になりながら股間目掛けて握撃を仕掛けようとするシクロを止める。それを見てフマルが牢獄の中から鉄格子の隙間に手を出す。その場にいた魔術師や医師が一気に警戒するが、フマルはお構いなしだった。


「出来るか分からないけれど、それでもいいならやってあげるわよ」

「マジで!? よかったなぁみんなぁ!! 」

 雷帝丸はうれしさのあまり涙が止まらない。よしよしと自らの股間を撫でるが、本人以外が見たらただただ股間を弄る変態である。

「でも今の私では魔術が使えないわ。どうあがいても治療できないわよ」

「その辺は大丈夫だ。この液体を飲め。30秒だけ本来の1億分の1の魔力をここで使えるようになる薬だ。飲んですぐに使わないと効果がないからちゃっちゃと頼む。特別な許可を得てるから絶対に成功させろ」

「ずいぶん高圧的ね」

 フマルは文句混じりの正論を漏らしながら雷帝丸から小瓶を受け取り栓を外した。

「よし、じゃぁさっそく! 今すぐ!! あくしろ!!! 」

 雷帝丸はがっつく。だがそんなことなど微塵も気にする素振りは当の本人にはない。それだけ死活問題なのだ。

「なんなの? ホモなの? せっかちはホモの始まりよ? 」

「言わねぇよそんなこと! 俺の息子をいち早く復活させろ!! 」

「それとも童貞? 童貞もせっかちなのよ? 」

「うるせぇ! 今まで女どころか仲間に恵まれなかったし、風俗とかも勇者のイメージ的によろしくないし金ないんだよ童貞なめんなっ!!! 」

「だったらち○こいらないじゃない。粉砕されっぱなしでいいんじゃない? 」

「よくねぇ!! 男の勲章だ!! 」


 雷帝丸は必死に息子の再生を訴える。それを見かねたのか情けなく思ったのかは不明だが、鉄格子から伸ばした手から魔力を放出している証拠であるオーラのような何かが出てくる。

「仕方ないわね…。ほら、股間を手に乗せなさい」

「あれ? そんな感じの治療なの? 逆セクハラじゃないの? 猥褻な行為じゃない? 粉砕しない? ねぇ、大丈夫?大丈夫なのねぇ!!? 」

 雷帝丸は予想外の治療方法に驚いて若干引いている。再び股間の息子に悲劇が訪れるのではないのかと恐怖に襲われるが、男にとって重要なモノを粉砕されているためトラウマになっているのは当然である。

「黙って股間を乗せなさい。わ、私だって恥ずかしいのよ…これでも処女なのよ。お、男の人のお、おまたなんて触ったことない…」

「関係な…ぇええ!!? ロリババアなのに処女!? 母親なのにしょj」

「それ以上は股間を握り潰すわよ。おっぱいちゃんが」

 フマルは顔を赤らめながら膨れて怒る。後ろで股間を粉砕するつもりのシクロが両手で何かを掴む構えをしていて雷帝丸は涙目になりながら青ざめてしまう。

「待って! ほんとにやめて!! いやらしいこととか失礼なこととか考えてないからホントに許してください! なんでもしますからぁ!!! 」

「ん? 今何でもするって…」

「言ってねぇ! とにかくち○こを! 俺のち○こをぉぉぉ!!! 」

 かつてこれほど自分の股間を修復してほしいと女性に、ましてや見た目が幼女で回りに女性もいる中で懇願する勇者が存在したのだろうか。おそらく彼が世界で一番女性の魔女に自分の股間を治してほしいと叫んだ偉業(?)を達成した勇者である。この勇者はズボンとパンツを下ろして股間と尻を丸出しにするが、股間には息子は存在していない。が、当然モザイクが必要である。

「はいはい分かったわ。股間を手に乗せなさい。それでいいでしょ? 」

「頼んだぜ! 」


 シクロが小宇宙を燃やすような構えをして睨んでいるが雷帝丸は限界だった。股間の息子を取り戻したい雷帝丸に先ほどのような躊躇はもうなかった。フマルの柔らかい手のひらや指先に息子が不在の股間を直接、男らしくのしっとのせる雷帝丸。鉄格子から長くは出ていないフマルの手にどっしりと股間が乗ったことを確認したフマルは恥ずかしがりながらも息を整えて小瓶の中身を飲み干し、魔術を発動する。コハクとは対照的な黒いオーラが二人を包む。

「いい? 私はあくまでも時間を止める魔術に特化しているから、治療に特化しているわけではないわよ? 古代魔術による治療は数年かかると思うからやらないけれど、今できる最大の治療はしてみせるわ」

「あぁ。ここに来る前にそこにいる医者たちにも見てもらったけど、完膚なきまでに息子たちがやられすぎてどうにも完全な復活ができないらしいから、より俺の息子たちを完全体にして復活できるようにする! それができるのは多分お前だ!! お前にしかできないことなんだ!!! 」

「……わかった、出来る限り治療するわ。私の本気の魔術をその身に存分に受けるといいわ……『ヒール』!!! 」

 二人を包むどす黒いオーラはどす黒いながらも僅かに優しさに包まれるような、闇の中にも存在する光のような、相反するような冷たさと温かさに包まれる。そして、そのオーラはしばらくすると解かれる。治療が終わったのだ。



「…………ねぇ」

「……これは私は悪くないわ」

 雷帝丸はそっと股間をフマルの手のひらから離して己の股間を確認する。

「なんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!?? ふぉああああああああああああああああああああ!!!!!?? ぴょやあああふぁjfパオ;んしあbmgbふぇjkbな39あおおggんgzlあpごjwrhbんq3v9b44jgんqヴぁヴぁえ0jあああああああ!!!!!! 」

 雷帝丸の股間の息子は、まったく変化なしだった。息子不在の股間が帰ってこないことを嘆いて発狂しながら腰を高速で前後に動かす。

「おそらくあなたにかかっている呪いが原因ね」

「呪い!? 」

「そう、魔剣の呪いね。時流針剣(ゲイザー)の呪いの影響で“時間を操られなくなった”のよ。だから私の時間を止める魔術を打ち破った。それだけではなく時間を飛ばされることも、時間を巻き戻されることも、時間の流れを変えられることもなくなった」

「それが今何の関係があるんだよ!? 俺の息子は!? 俺の息子ぉぉぉぉぉぉぉ!! 俺のち○こぉぉぉぉぉぉぉ!!! 」

「関係あるのよ」

 猛烈に泣き叫ぶ雷帝丸と対照的に冷静なフマル。解説を続ける。


「時を止める悪魔は強力すぎる悪魔で、今でも私の身体に住み着いて蝕んでいるわ。そんな悪魔と契約したのだから私はどんな魔術を使っても時間が関係してしまう。ということはあなた治療しようにもあなたの“時間”に干渉してしまうのよ。攻撃は私の時間に関係してあなたの時間には関係しないから攻撃できるけれど」

「……それはつまり、俺の呪いのせいで、剣のせいで治療できないってことか? 」

「えぇ。普通の治療であれば風の国の魔術を織り込んだ治療で有名な名医に股間を再生させてもらうことができるのだけれど、とんでもない大金がかかると思うわ」

「金ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……」

 結局雷帝丸は絶望を抱え込んだ。用件はそれだけだったので雷帝丸は落胆しながらシクロに帰るぞと呟く。半笑いで頷いて雷帝丸より先にその場から立ち去る。雷帝丸も帰ろうとしたときだった。小瓶を看守に渡しながら雷帝丸に向かって一言だけ警告した。

「そうだ、勇者雷帝丸」

「サンダーボルト、さっちゃんだ」

「まぁどっちでもいい。お前、そのうち無自覚な甘さが命取りになるぞ」

 雷帝丸は無言で立ち去って行った。



雷帝丸さんは悲しみを背負って前に進めるのでしょうか…

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