表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ベテラン勇者のおつかい  作者: Luoi-z-iouR(涙州 硫黄)
風穴の光
62/239

風穴の光 ⑩突破口?

 時は少し遡る。それは雷帝丸がこの部屋で目が覚めた時のことである。


「しかし先輩、10年前に牢屋から勇者を大量に逃がしたあの魔術師と勇者のコンビ以来の大物になるんですかね? 」

「そうだな。あの時はお前もここの研究員になって1週間くらいの出来事だったからな。俺は元魔王軍の下っ端だったが、あの時は何もできなかった。いや~、俺も歳を取ったなぁ」

「なんていいましたっけ?あの魔術師と勇者の名前」

「あー…確か…魔術師が『流星(ミーティア)()魔術師(ソーサラー)』で、勇者が『武具(アタック)()勇者(メイル)』だったな」

「!!?」

 雷帝丸は思わず驚いて一瞬だけ身体に力が入った。ビクッと全身が反応してしまう。

「うぉ!? 」

「なんだ!? ……あー、あれだ。机に突っ伏して寝てたらたまにビクッてなるやつだ。心配ない」

(なんで今のでバレないんだよ!!? )

 わざわざ顔を覗き込んで確認してきたにも関わらず、雷帝丸は男性魔術師コンビの若干間抜けなところに助けられた。その後回復させられているうちに心地よくなって本当に眠ってしまったのだが、これでラクトが以前ここで脱走したことがあり、相棒が流星(ミーティア)()魔術師(ソーサラー)であることはわかった。そしてこの時は失念していたことが一つあったのだが、それはこの後気が付くことになる。



「……コハクの父ちゃんは、『流星(ミーティア)()魔術師(ソーサラー)』だな?」

「あら、そこまでわかっているのね」

「私も会ったことが無いのですが、どのような人物だったのですか? 」

 アミーですら知らないことだったのかと少し驚く雷帝丸をよそにフマルは流星(ミーティア)()魔術師(ソーサラー)について語りだす。

「そうね。彼は10年ほど前にすでに亡くなっているわ……私の夫ともなりえたのにね。彼は私が300年ほど前から続けている研究に感づいたのよ。だからコハクの作るのに殺したわ」

「300年!? あんた歳いくつだよ!!? それに殺したって!? 」

「女性に年齢と体重を聞くのはマナー違反よ。それで…その研究の一環としてこの町に来た勇者を誘拐し続けていて、それは今でも行っているわ。……10年ほど前、彼らは突然ここにやって来た。どうやってここを知ったのかは知らないけれど、彼らは私の当時行っていたホムンクルスの研究の妨害をしに来たのよ。まぁあなたには関係のない話よ」

 やれやれと呆れながらも簡単に説明をするフマル。一番の障害であったシクロをあっさりと戦闘不能に陥れたため、魔術師としては余裕がある。フマルも魔女と呼ばれているが実際は魔術師であり、例に漏れず近接戦闘には向いていない上に身体能力は雷帝丸には劣っているが、それがわかっていても余裕がある。そんな余裕がある魔女に向かって雷帝丸は魔女を睨みつけて関係ないという言葉を否定する。

「いいや、俺は魔王退治の依頼の寄り道で、ちょっとしたおつかいを請け負ったんだ。そいつは自分の娘と会うために相棒を失いながらも10年生き続けてるんだ。だから俺はそいつに頼まれたおつかいを果たさないといけねぇんだよ! 」

 吠える雷帝丸。少しずつ自分のやるべきことを思い出す。本来ならやらなくてよいことなのかもしれない。だが雷帝丸はそこまで薄情な男ではない。約束は果たすつもりである。

「あ、そう。でもそんなこと気にしなくていいわ。あなたはまたあの牢屋にでも閉じ込めておくわ。私はあなたを殺すことはできない。この理由もなんとなくわかるだろうけれどまぁいいわ。あとあのおっぱいちゃんも生かしておくから安心しなさい」

「安心できるか!! とりあえずシンプルにぶん殴る! 」

 雷帝丸は起き上がりながら反論する。が、ついに拾った武器すら失い全裸に等しい。シクロを守るためにも倒れるわけにもいかない。雷帝丸の内心はぶん殴ってからシクロを抱えて逃げるか、このままアミーとフマルを殴り倒すのかの二つに一つになった。

「うおおおおおおおおおおお!! 」


 雷帝丸は早速考えなしにまっすぐ突撃する。アミーは何かを察したのか雷帝丸とフマルから離れる。先ほどフマルを守ろうとした行動とは真逆の行動に違和感を覚えたその瞬間だった。身体が急激に遅くなる。だが止まっているわけではない。それでも動きは止めない。その姿を正面から見るフマルは何かに気が付いた。そして、フマルは唐突に発狂したのだった。

「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!! 」

 発狂と同時に身体が急激に動き出した雷帝丸、攻撃を避けたアミーが各々に驚く。

「うおぁああっ!!? 」

「うわぁ!!? 」

「な、なぜ!? なんで!? なんの才能もない勇者が私の魔術の抵抗力があるの!!? 愚策に突っ込んだだけじゃない!? 魔力も魔術も使えない! ろくな能力も才能もない! なぜだああああああああああああああああああ!! 」

 フマルは自分の魔術を破られたことで発狂する。だが雷帝丸は何もしていない。本当に何もしていない。

「え?あんたが高速で移動してるんじゃないのか? 」

「高速で移動…? 私が移動しているように見えるの!? 」

「え…どういうことですか!? この勇者は、この男は、誰であっても破ることが出来ない主任の魔術を…攻略した…? 」

「あれ?もしかしてお前の十八番(おはこ)を無意識のうちに破ってた的な話? 俺ってガチ目な俺TUEEEEE的なことできるの? やれやれ系主人公じゃないよ俺? 『俺何かやっちゃいました? 』的な主人公じゃないよ? 」

「はぁ…はぁ…久しぶりに叫んだ……れ、冷静になりなさい、私の魔術は一つじゃない。簡単な話よ。魔術の使い方を工夫すればいいだけよ。今のは偶然、300年の間で一度もこの魔術を破った者はいない。たまたまそう見えただけよ。つまり、私の魔術にはついてこられないだろう!! 」



ついに雷帝丸さんの強化が始まる…?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ