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ベテラン勇者のおつかい  作者: Luoi-z-iouR(涙州 硫黄)
風穴の光
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風穴の光 ⑦突撃!となりのお部屋!

 雷帝丸は今にも崩れそうな天井を見て少し不安になる。あと少しでも激しい戦いをすればこの施設は完全に崩落してしまう。そうなったときは自分が外に出られなくなることだってあり得る。それにコハクがまだ見つかっていない。どうしたらよいものか…。そう考えているとまた魔術師が数名現れ抵抗するが、雷帝丸とシクロはあっさりと撃退してしまう。むしろシクロが謎のオーラを放って謎の奇声を上げながら拳を容赦なく無限に叩き込むので雷帝丸が一人相手している間に全滅させることもあったため魔術師が心配になる雷帝丸であった。何回かそのやり取りをしていると天井がすでに崩落している場所までたどり着いた。

「あ。天井が……」

「ここを上がりましょう。よっと」

 シクロは自分が元から習得していたドラゴン流リュウスイ拳の武術で空中を歩いて上の階へ向かおうとする。雷帝丸は当然登れない。

「お、おい! 俺上がれないんだけど!? 」

「なんでできないのよ。 仕方ないから一度だけ簡単に教えるわ。空気中の水分の位置を魔力で固定して足場にする。それが出来たなら空間を高速で踏み第にすることで空中を移動できる。ほら、簡単でしょ? 」

「できるかっ!? 」

「じゃぁはしごでも作っておきなさいよ。今はあんたと一緒じゃないと出られなさそうだし、コハクちゃんもアミーちゃんも探したいから早くしなさいよ。先に行って女の子探してくるから」

「ばか! だったらはしご作るの手伝えよ! おい!! ……あの、シクロさん? もう行ってしまわれたのですか? (わたくし)めにお恵みを……」

 雷帝丸はぽつんと置いてけぼりになったままで、シクロは上の階に空中をすたすたと歩いて上がってしまった。近くにはしごや脚立はない。雷帝丸は瓦礫を階段状に積み上げて踏み台にするしかなかった。



「あ、あぶね…よっと! お、おわ…足場崩れた…」

 瓦礫を積み上げて雷帝丸がジャンプして上の階の床を掴んでよじ登る。その反動で足場は崩れてしまってもう戻ることはできないが、上の階にしがみつくことはできたので問題ない。どうしてこうなったのか。シクロと離れてしまった後で、はしごは今ある材料では作れないと判断した雷帝丸は瓦礫を使用して階段を製作してよじ登る。足場にする瓦礫が足りなくて来た道を戻って瓦礫を集めつつ、打撃武器になりそうなくらい大きな杖を一つ回収して紐で括り付けて背に携えている。その後で杖と一緒に魔術師のローブを拝借したほうが良かったと反省している。そう、彼は未だにほぼ全裸なのだ。

「あり合わせで作った足場だから不安だったがどうにか上に来れた…あぁ…正直寝たい…あいつさっさと行きやがって…ホントいい加減にしろよ……。また女に現を抜かしてたら今度こそぶん殴るからな……」

「なんか言った? 」

「うぉあ!? 戻って来たのか!? 」

 雷帝丸の頭上には先に上の階に行ったシクロが戻ってきていた。雷帝丸は背中の杖がシクロに当たらないように気を付けながら積み上げた瓦礫を踏み台にして自力で登った。ひとまずは合流できた二人だが、シクロが戻って来たのには意味があった。

「魔術師が下の階同様にいたんだけど、なんかみんな見たような顔なのよね…。まぁそれはいいんだけど、この先少し進んだところでなんかすごい魔力を感じたのよ。魔術に詳しくないあたしですらこいつはヤバいって思うくらいにはヤバそうな魔術師がいると思うわけで、さすがに今まで通りに無双できない気がして盾替わりとしてあんたを迎えに来たのよ」

「人使い荒くない!? 文字通りに人の使い方荒くない!? 」

 雷帝丸を盾にする動作をしながら冗談めいたことを言うシクロだが男嫌いのシクロならやりかねない。

「でも本当にヤバそうなのよ。さっき何かの魔術を使ってきた気もするし」

「相手側の魔術か…うーむ……」

 ある意味シクロの言う通りである。研究者の中にいたコハクと身長や歳も大差なさそうな女性が責任者でもおかしくないのが魔術界隈である。雷帝丸は魔術が全く使えないが、コハクやアミー、他の魔術師たちを見ると見た目によらず強い魔術師が多いことを経験している。


「…もしかして、俺らが同じ階層にいることはもうバレてるのか?」

「それなら今こうやって話してる間に魔術で片付けに来てもおかしくないわ。」

「なら俺たちが逃げたことはわかっててもどこにいるかまではわかってない、もしくは迎え撃つつもりだな。それなら話は早い。何人いるかはわからねぇが、俺が突撃して雑魚を引き寄せるから、お前がその後ろからここの責任者っぽいヤツを戦闘不能にしろ、殺すなよ? 」

「女の子がいるの!? ぐふふふふふふふふふふふf」

「お前女なら見境なしかよ……。とにかくお前の相手はコハクと同じくらいの幼女だ。戦闘不能にしたらあとで幼女から事情聴取するから俺にまとわりつく雑魚を何とかしてくれ。」

「女の子気絶させたら犯し(ヤッ)てもいいわよね?」

「ゴブリンかおまえは……。捕えて事情聴取が先だ。いや、犯す(ヤる)のもだめだけど。案内してくれ」

 雷帝丸の作戦は自分が囮になってガードが薄くなった責任者の無力化をシクロに任せるということだ。簡単に言えばメタンガストパスと戦った時と相手の数が違うだけで本質は同じである。作戦が決まるとシクロは雷帝丸をその部屋まで案内した。先ほどまでいた階層と同じように返り血がペンキのように付いた壁や床に肉片などが転がり、女性魔術師が全身から、特に股間から謎の液体を大量に噴き出して倒れている様子も見て取れた。雷帝丸はもうこの格闘家とは二度と拳を交えたくないと改めてドン引きしていたのは言うまでもない。

「じゃぁ行くぞ。シクロが飛び込むタイミングはシクロが一撃で責任者を近接戦で仕留められそうなときを見計らって来てくれ。魔術師は遠距離攻撃にはいくらでも手段があるかr」

「わかっているわ、一撃で女の子を気絶させればいいだけなんて楽勝よ。魔術師の昏睡プレイ…なかなかいいわね。……。男はミンチにしてやるけど。」

 シクロが言っていた部屋の入口の木製の扉近くで最後の確認をすると雷帝丸はシクロの発言に頭を抱えて大きなため息をつく。そのため息とは別にもう一度軽くはぁっと一息整えると雷帝丸の集中力は戦闘態勢に入った。雷帝丸はシクロに声をかけて突撃する態勢を取った。

「男も殺すなよ…。じゃぁ行くぞ。」

「どうぞ。」

 雷帝丸は右手の中指、人差し指、親指をシクロに見せて3、2、1と指を折る仕草で全く意味のないカウントダウンをし、最後の親指を折って拳を作ると同時にその部屋の扉に向かって走り、扉を蹴破った。

「カチコミじゃぁぁぁぁぁぁぁ!!お前ら!よくもやってくれt…」

 木製の扉がバリっと本来立てない音を立てて扉としての役目が終わると、雷帝丸は扉を破壊しながら室内に突入し、魔術師たちを驚かせた。雷帝丸は背に携えた杖が、扉がまだ形を保っている上部に引っ掛かり、そのまま後ろに転んで後頭部を強打した。ゴンッと鈍い音が響くが、その場にいた魔術師たち、魔術師の責任者であろう女性、シクロはぽかんと拍子抜けするしかなかった。これが、風の国での雷帝丸たちの最後の戦いのコングであることになるとは誰も想像していなかった。



次回から本格的にバトルになります。雷帝丸さん側の戦力は雷帝丸さん(ほぼ全裸)とシクロさんの二人です。果たして脳筋コンビは魔術師のエリートたちに勝てるのでしょうか…?

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