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ベテラン勇者のおつかい  作者: Luoi-z-iouR(涙州 硫黄)
風穴の光
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風穴の光 ④勇者の息子

「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 」

「ぎゃぁぁぁ!! 」

「大変です! 格闘家が魔本の暴走のせいか暴れ始めました! 魔術で対抗しきれません!! それに格闘家を収容していた観察室を破壊して脱走を試みていま…ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!! 」

 暴れている格闘家の名前はシクロ。昨日まで雷帝丸と共に行動し、半日前まで病院で眠っていたコハクによだれをかけ流し、数時間前まで雷帝丸に一方的に勝利したあのシクロである。

「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 」

「手が付けられない! 特殊部隊はまだか!? 」

「だめだ! 回復しきってない! 何としてでもここを持たせ…ぐはっ!! 」

 大暴れするシクロに気を取られていた研究員の魔術師たちはある重大なことを忘れていた。



「……外が騒がしいな。いや外なのか?しかも地震みたいに揺れてるし」

 この男、丸腰の勇者で名を「雷帝丸」という。現在は魔術師たちに収容されて牢屋に投獄されているが、騒ぎのせいか監視する者はだれもいない。先ほどまで魔術による治療によって回復し、狸寝入りをしながら研究員の魔術師の話を聞いていた。現在は武器も防具も無く、防具の一部だった布を羽織っている程度でほぼ全裸である。かろうじて股間は隠れているが不自然に股間の革が赤い。

「魔術師たちが回復してくれたおかげで何とか身体は動けるけど、まだ全身が痛いな…と、トイレトイレっと…」

 雷帝丸は先ほどまで聞いた情報をまとめようと思考を巡らせつつ、牢屋内に併設された便器に移動しつつ、用を足すために自分の股間を(まさぐ)った。

(えーっと…まず、俺がゴミだって評価したのは許せねぇ。あの魔術師どもをぶっ飛ばす、これは確定事項だがシクロとコハクの救出が最優先だ。シクロが裏切ったのは魔本?とやらと洗脳のせいで多分本人の意思じゃない。これが分かっただけでも今後の動き方にデカい影響がある。それからアミーもグルだったとはな…シクロと違って洗脳されてないんだからコハクが知ったら悲しむぞ。で、俺はなぜか回復させられて今牢屋にいると。さっきまで手足の拘束があったのに解放されてるし意外と警備体制はガバガバっぽいがこれは罠なのか?それと10年前の脱走した勇者と魔術師ってどっかで聞いたような…? それはそうとなんか俺、股がスースーするんだけど? )

 ここで雷帝丸の身に何が起きていたのか気が付いた。いや、雷帝丸は自らの息子に、自らのナニに何が起きていたのか気が付いたのである。


「……あ、あれ? おかしいな? おっかしいなぁ? 俺って男だよな? 別に女に性転換したとかいう展開はないだろ? でも俺の股間は双玉と袋と聖剣がなくなってる。一体何があったんだ? もしかして俺って転生して女になったとかやっぱりそういう感じ? なろう主人公が異世界に転生して無双するなんてなろうの世界ならいくらでもあるし? ついに俺にも時代が来た!? なんてことはないよな……。そういえば最後に自家発電したのいつだったっけ…? あ、シクロの胸の大きさがわかる事件があってミノムシみたいになってる時に股間を弄ったことはあったけど満足にしてないし…まさかあまりにも使わな過ぎて神様が俺の知らないうちに俺の息子を消滅させたなんてことはないよな? そ、そうだ…、そうだよ、俺、操られたシクロに股間を握り潰されたんだ…。そうだったそうだった、あっはっはっはっはっはっはっは…ふぅっ……」

 雷帝丸は一息置いてから、ゆっくりと深呼吸をして肺に空気を貯める。その貯めた空気を最大限に利用して大声で、誰もいないことを確認する前に叫んだ。

「お、お、お……俺のち○こがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! 」

 雷帝丸は頭で処理しきれずについに冷静でいられなくなった。それもそのはずである。自分の男性器を年下女性の仲間の握撃によって木端微塵に消し飛ばされ、それにより敗北したのである。


「あああああああああああああああああああああああああ!! いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ち〇こおおおおおおおおおおおおおお!!! ち〇こがぁぁぁぁああああああああああ!! 俺のち〇こがぁぁああぁああああああああああああああああああ!!! そんな! そんな!! 待ってくれ!!! 袋小路! 右京! 左近寺! 竿竹ぇぇぇぇぇ!!!! 我が息子たちいいいいいいいいいいいい!!! お前ら! お前らああああああああああああああああああああ!!!! 」

 ここで雷帝丸は自分の股間の異常にやっと気が付いたが、幸い回復させられたこともあるのか時間経過のせいなのか今現在股間に痛みは感じていない。周りの空気がビリビリと痺れるほど震える大声を発したにも関わらず誰の反応もかえって来なかった。

「くそぉぉぉぉぉ!! よくも! よくもぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 」

 荒ぶる雷帝丸は結局用を足すことができず暴れ、叫びながら感覚的に股間に何とも言えない感覚に襲われて牢屋の中でのたうち回っている。こうなっては冷静な判断はできない。むしろ出来たらよっぽどの天下取りの男である。仮に天下をとっても側室どころか子孫を残すことはできないが。


「袋小路…右京…左近寺…竿竹…なんでお前ら逝っちまったんだ……!! くそぉぉぉぉぉ!! これじゃ俺が花の国の王になった後に子作りどころか女を抱くことすら出来ねぇじゃぁねぇかぁぁぁぁ!! 『おいおい聞いたか! 今度の王様玉無し竿無しなんだって! プークスクスwww』とか言われるじゃねぇかぁぁぁぁクソがぁああああああ!! 」

 どうでもよいが『袋小路』は黄金の玉を守る袋、『右京』と『左近寺』はそれぞれ雷帝丸から見て左と右の玉の呼び名である。右と左の名前はたまに入れ替わるとかそうでもないとか。そして『竿竹』は本体である。見るも無残に粉砕されて跡形も無い雷帝丸の股間の息子たち。血みどろの股間に息子たちの姿は無く、当然モザイクがかかるので雷帝丸の息子たちが健在であろうがなかろうがどのみち皆様にはお見せできない。

「これはシクロのせいじゃない! いやシクロがやったけど!! 魔術師どもが俺の息子たちを殺したんだ!! あいつらの股間も引き裂いてやる!! ち○こ晒して待ってろゴラァァァァァァァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 」

 息子たちの復讐してやるとてくる雷帝丸。その原動力はもはや勇者ではなく魔王に近い。雷帝丸は血の涙を目と股間から流しながら怒り狂っていた。頑張ってシクロのせいにしないように責任転嫁しつつ怒り狂う雷帝丸だが、彼にとってその直後に幸運が訪れる。それはトイレ付近、すなわち雷帝丸の真横に見覚えのある()が上から飛んできたのである。


「ぅをわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!? なに!? なに!!? 」

 見覚えのある()が収まると、上にできた穴から戦闘中の様子が見て取れる。同時に便器が()によって消し飛んでただの穴になってしまったため、雷帝丸は足元に気をつけながら穴を見上げるように覗くと、上から血液であろう赤い液体がぽたぽたと雫になって落ちて来るのがわかる。

「や、やべーよ……多分シクロだよな? 」

 雷帝丸が青ざめながら震えていると上からシクロではない女性の悲鳴が聞こえてきた。

「きゃぁぁぁ!! 」

「離れろ! この野蛮人が!! このド変態がぁ!!! 」

「いや! 離して! あ、あぁん!! やだ! そこはぁぁあぁああぁっ!! 」

「ひぃ!!? なんなのこの女ぁ!! 離れろぉ!! ひぎぃぃぃぃぃいいぃぃぃいいいぃッ!! 」

「…早く止めに行かなきゃ……」

雷帝丸は悟りを開いたかのような無表情で赤い液体が垂れ、嬌声が響く穴をよじ登ってシクロを止めに行くことにした。



この男の股間粉砕事件が後に世界に変革をきっかけの一つであることは、まだ誰も知らない。

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