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ベテラン勇者のおつかい  作者: Luoi-z-iouR(涙州 硫黄)
風の国
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風の国 最終話 不運続きの魔術師

「ぐ…この……! 」

「普通の拘束よりもかなり強力でしょ? 縛られながらじりじりとやられていくからね」

アミーはジワジワと鎖の締め付けで追い詰められる。だがアミーはただ黙って押さえつけられる程度の魔術師ではない。魔術は魔力がある状態で声に出すことで基本的には発動できる。魔力を封じられたわけではないと判断し、反撃を試みる。

「『ブリザード』。……!? 」

 アミーの繰り出した氷の魔術『ブリザード』は簡易的ではあるが上級者でも頻繁に使用する魔術で簡単に威力を調整できる。アミーは威力が高くなるように魔力を注いだが氷は一瞬にして溶けて無力化されてしまった。

「だから普通の魔術じゃ効かないんだって。ここで終わりにするよ、アミー」

 少し冷たくも優しくも感じられるコハクの言葉と同時に、アミーを戦闘不能にするための魔術を唱えようとした。しかし、その後ろから窓がバリンとガラスが割れる音を聞き、驚いて振り返る。

「えぇ!? ちょ、ここ5階だぞ!? 」

「おじちゃん!? おねぇちゃん!? 」

 コハクはシクロにマッスルバスターをかけられながら落下する雷帝丸を見つけた。とっさに魔術を唱えて雷帝丸の危機を救おうとするが、何が適切な魔術なのかが分からず躊躇してしまった。

「死ね」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!! 」

 雷帝丸はシクロと共に落下していく。雷帝丸はなす術なくシクロに固定されながら技をかけられるしかなかった。落下してゆく年上二人に反応して魔術で助けようとする。だがその一瞬を逃さなかったのはアミーの方だった。アミーはコハクが二人を助けるための魔術を唱える時にわずかに緩んだ炎の拘束から脱出に成功する。

「マッスルバスター!!! 」

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!! 」

「!! 『アンワインド』」

「『クレイ』!! うわぁ!? 」

 コハクは地面を泥沼に変えて衝撃を抑えると同時に動きを封じることで雷帝丸への手助けをしようとしたが、よそ見をした隙にアミーは『チェイン』で魔力を蓄えていた雨雲に『アンワインド』を放つ。『アンワインド』は『チェイン』で貯めていた魔力を放出することが出来る魔術である。そして『チェイン』で貯められた魔力は雷撃となってコハクに降り注ぎ、避けられずに雷撃を受けてしまった。

「うわぁぁぁ!! 」


 コハクは空中で雷撃を受けてそのまま落下していく。ほうき星も元の杖の形状に戻り、空中で体勢を立て直す術がない。だがアミーは今の雷撃で拘束からの脱出とコハクへの攻撃を同時に成し遂げた。それでも消費した魔力と体力はかなり多く限界も近い。全体の流れはアミーに寄っているが依然危機からは抜け出せていないため、警戒しながら呼吸を整える。

(今の『アンワインド』が私にとっての切り札…アレで倒せなかったらもう私じゃ対抗できない…! 私の能力の『魔力の質を底上げする』能力じゃ魔力の量は増えない。もう魔力も残り少ないから丸腰になるのも時間の問題…)

 アミーがそう思うのは自身の能力が関係していた。魔術の威力や完成度は悪魔に差し出す魔力の量で決まるが、そのほかの要因に魔力の質など別の要因も関係する。アミーの魔力は質が高いため少量の魔力で絶大な威力の魔術が使用できる。だが一度にたくさんの魔力を放出できない。つまり一撃の威力が少ないままなので今回のように外部に自分の魔力を貯めて、通常では使用できない威力の魔術を使用することで威力不足をカバーする。これはアミーの家系が得意とする魔術の系統だがここでは省略する。一般的にはほとんどの生命は魔力が体内から発するがそれは有限であり、アミーも魔力が尽きるまでは時間の問題。しかもほとんど魔力を使いきった状態である。

(拘束しても抜け出された。大技でトドメを刺そう。使うなら今しかない)

 アミーは念のため最後の一撃を放つ準備をしている。このタイミングを逃せばコハクには勝てない、そう確信して落下していくコハクにトドメを刺すつもりで魔術で勝利するつもりである。そして、今まで唱えていた魔術とは異なる魔術を使用した。

「はぁッ!! 」

 アミーの着ていたローブが黒いオーラを発して、無慈悲にも落下してゆくコハクがさらに速度を上げて落下する。悲鳴すら聞こえないほど大きな音を立てながらコハクは追撃を受ける形で地面に叩きつけられた。

「…………」

「はぁ…はぁ……何とか……倒せた……」

 今度こそ、コハクは分身ではなく本体が攻撃を受けて敗北した。しかし、まだ反撃しようとしていたのか防御しようとしていたのかは謎だが2本の杖はしっかりと握られたままだった。そこから少し離れたところでは、シクロによって深紅の噴水が完成していた。



今回でまさかの風の国編最終回です。作者もこのタイミングで区切るの!?とか思っていますが今後の展開を考えると一旦ここで区切るのがキリが良さそうなので…

さて、主人公勢がまさかの全滅です!読者様逃げないでください!いくらなんでも不遇な目に合いまくっている主人公勢がこのまま終わるわけがない!ちょっとピンチなだけです!信じてください!なんでもしますから!(何でもするとは言ってない)

冗談はさておき、ベテラン勇者のおつかいは一応魔王を倒す物語なのでまだまだ続きます。というかまだ始まったばかりです。意外と話が長いんです。はい。

次回から少し番外編を挟んでから本編の再会になります。もしかしたら今後の話に関係するかもしれないので夏場に食べるキムチチゲと同じくらい期待していてください。

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