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ベテラン勇者のおつかい  作者: Luoi-z-iouR(涙州 硫黄)
風の国
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風の国 ⑲死の握撃

(校舎? 何をするつもりだ? 何か魔術を使って戦えるのか? )

 雷帝丸はあえて手の込んだ攻撃をしようとしているシクロに違和感を覚えるが、どのみち身体が動かない。隙を見て脱出することを考えているが、やはり身体が限界を迎えている。先ほどまでの生き生きと素人相手に格闘戦をしてイキっていた者と同一人物とはとても思えない。

(5階…? 何かあるのか? )

 5階まで登ったシクロは雷帝丸を担ぎながら廊下を歩いている。少し動けるかと思って雷帝丸は抵抗しようとするかあっさりと殴られてしまい再び限界を迎える。シクロはそんな動けない雷帝丸に冷たい視線を浴びせながら、雷帝丸を一旦降ろした。

「ぐぇ…シク…ロ……。おでこに『肉』って書いてあだだだだだだ!!関節がぁ!!」

「くらえ」

 考える余裕がなくなっていた雷帝丸は逃げようとするが、再び腹部に一撃だけ殴打を決められてうずくまる。シクロはうずくまる雷帝丸を逆さに持ち上げ、肩に担いで、両手で雷帝丸の脚を固定してそのまま力任せに締め上げる。その威力は身体の内部から鳴ってはならない音が鳴るほどで、雷帝丸の全身にさらなる痛みが迸る。関節を絞められて苦しむ雷帝丸をお構いなしに、シクロは雷帝丸を固定したまま学校の校舎の窓から固定した状態で窓ガラスを破りながら飛び降りた。

「えぇ!?ちょ、ここ5階だぞ!?」

「おじちゃん!?おねぇちゃん!?」

 飛び出した先にたまたま目の前にコハクがいた。箒に変化したほうき星に跨り、きらきら星を構えていた。しかしコハクはすぐに雷帝丸の視界から消えてしまった。雷帝丸とシクロは落下しているのである。

「死ね」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!! 」

 雷帝丸はシクロと共に落下していく。雷帝丸はなす術なくシクロに固定されながら技をかけられるしかなかった。

「マッスルバスター!!! 」

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!! 」

「『クレイ』!! うわぁ!? 」

 雷帝丸はシクロと共に落下してマッスルバスターを決められた。5階から飛び降りたということは死を感じることが最も恐怖する高さに近い位置から飛び降りたことになる。そんな恐怖を体験しながら落下する雷帝丸は地面に叩きつけられることになった。


(あぁぁぁっ! いってぇぇ…! あれ? 生きてる…? )

 雷帝丸は地面上半身だけ突き刺さっていた。しかしその地面は柔らかい。コハクが地面を泥沼に変える魔術『クレイ』を唱えたことで泥沼に早変わりしたおかげで衝撃を減らすことができた。しかもかなり深くまで泥沼化したため雷帝丸へのダメージは少なめに済み、しかも固定が外れたシクロは雷帝丸よりもさらに深くに沈み込んだ。

(あれ? 身体が、動かなくね? いや、埋まってるのもあるんだけど、関節が痛すぎて動かないんだけど!? 脚は埋まってないのに動かないんだけど!? M字開脚ならぬW字開脚みたいになってるんだけど!? )

 雷帝丸は地中に上半身だけ埋まってしまった。今朝も土の中に埋まっていたのに同じ人物にまた埋められるはめになった。地面には雷帝丸が身体を使って草を生やしている。それでも雷帝丸は次の一手を考える。


(だが! 今のでシクロは俺よりもさらに奥深くに沈み込んだんだ! 俺ですら動けないのにそう簡単に抜けられまい! )

 埋まりながらもこれはチャンスだと捉えている雷帝丸だったがさらに一枚上なのはシクロだった。シクロは雷帝丸が甘い考えをしているうちに一気に地上へ出てきていた。

「でぇぇぇえぇぇぇぇえぇい!! 」

(えええええぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!? なんで出られんの!? )

 雷帝丸やコハクは知らないが、シクロが身につけている武術『ドラゴン流リュウスイ拳』は空気中や水中の水分を魔力で固定して脚で踏みつけることで、空や水中を自在に行き来できる。そのおかげで陸上、水中、空中と場所を選ばずに立体的な戦いができるようになった武術で、特に機動力と瞬間的な破壊力に重きを置いている流派である。それは地中の水分も例外ではなく、むしろ泥沼化された土には水分が含まれてしまい、雷帝丸の予想をはるかに上回るスピードで地上に出られてしまった。それは雷帝丸にとっては一難去ってまた一難である。


「ぷへっ! ぺっ! ペっ! …」

(やばいぃぃぃ! 早く出ないと何されるか分かったもんじゃない!! )

 口の中に入った土を吐き出すシクロは次に必ずトドメを刺しに来る。雷帝丸は急いで抜け出そうとして地上に出た脚をじたばたさせて脱出を試みる。だが思うように動けず脚があらぬ方向に動くだけである。そんな中一足先に地上に出てきたシクロは雷帝丸を見て怯えていた。

「あ…あ……!! 」

(くそっ! 抜けろ!! …そういえば、なんか股間が涼しいような…? )


 雷帝丸は股間の風通しが良すぎることに気が付いたがもう遅かった。雷帝丸の装備はズタボロになっていたため、下着までもが役に立たなくなっていた。それに気づかず戦っていた雷帝丸は地面に刺さった今、自分の股間を世間に晒していることに気が付いたのである。そのせいでシクロは雷帝丸を完全に殺す準備が整ってしまった。

「脚で草を生やしてると思ったら…股間から不潔なキノコと玉まで生えてる……」

(は!? え!? 待って!? ヤバい単語が聞こえた気がする!! )

「こんな憎き肉の棒と黄金の玉があるせいで男は汚らわしい生き物になったのよ……!! 」

(それはヤバいから! ほんとにダメ!! マジでやめて!!! シャレにならない!!! )

 シクロは雷帝丸の股間を見下し、怒りが最頂点に上りながらも、深く深呼吸をして落ち着きを取り戻す。ふぅっと一息つくと、左手が一回り大きくなる。筋肉繊維のような紋様が左手に浮かび上がり、腱のような筋が走る。爪も常人のそれとは違う色と形を成し、その左手はまさしく”鬼”のようだった。シクロはその禍々しい変貌を遂げた自らの左手を雷帝丸の股間に添えて、やさしく包み込んだ。

「男にこんなものがあるからぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!!!!! 」

(やめてぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇえぇぇぇぇええええええええええええ!!!!!! )

 万力よりも強いその拳の内側で一瞬にして握りつぶされた雷帝丸の息子は死に絶えた。そして、雷帝丸の股間から息子の死を告げる深紅の噴水が完成した。



Oh, no.

Raiteimaru's golden ball and excalibur was dae. But he never gives up until he defeats the Demon King. Lost thiings are big, but there should be friends to suppot! Goodbye son of Raiteimaru. Good luck, Raiteimaru!

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