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ベテラン勇者のおつかい  作者: Luoi-z-iouR(涙州 硫黄)
風の国
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風の国 ⑱格の違い

 コハクは校長室の金庫から手に入れた新しい杖を魔法陣から取り出した。右手には今まで使っていた旅の相棒のほうき星を、左手には旅に出る前に設計して先ほど手に入れたばかりのきらきら星を構える。

(それなら高威力の魔術で打ち取る! 底なしの魔力相手にどこまで通じるか分からないけれどやるしかない!! )

 作戦を変更して力に力をぶつけてみるアミー。彼女もいわゆる魔術の天才なのだが、それでもコハクの方が何歩も先を進んでいる。

「『コール、スパーク、ブリザー…』」

「『ストロボ』! 『インパクト』! 」

「きゃぁ!? 」

 コハクは両腕の杖の先端を差し出して魔術を使用した。プロト・イビルホーンに魔力を流して連続で強烈な光を浴びせる目くらましの魔術『ストロボ』をアミーに浴びせて隙を作り、自分が確実に魔術を唱えるために相手に強い衝撃を与える『インパクト』でアミーの魔術の発生を防いだ。杖2本を用いた単発魔術のコンボにアミーは反応できずに視界を奪われながら吹き飛ばれ、続けてコハクはきらきら星に魔力を流して魔術を唱える。

「『コール! バインド、ブースト、ブラスター』! 」

「うわぁ!? こ、『コー…』」

「『サンドストーム』! 」

「きゃぁ! げほッ! げほッ!!? 」

 コハクは『バインド』の鎖をで動きを止めて『サンドストーム』で土埃を立てて魔術を唱えさせないようにした。拘束と土埃に耐えきれずアミーは自分の杖を手放してしまった。

「どう? これなら魔術は使えないでしょ。魔術一つでも条件が合わないと失敗して唱えられないからね。だから簡単にかつ長時間持続する魔術ならしばらく魔術は使えないよ」

「げほッ! こは…げほッ! 」

(それにしてもきらきら星はすごい……『ストロボ』も『サンドストーム』もそんな魔術は今までなかったのに、悪魔が来てくれるおかげで頭の中で考えた複数の魔術を単発(ワンコール)でいっぺんに唱えられる!まだ研究が必要だけど、あらゆる戦闘で有利になりそう! )


 コハクはきらきら星を少し使っただけでこの杖の異質性の一角に触れたことを自覚した。今後の魔術に革命が起こるかもしれないときらきら星に期待が高まる。しかし、そのことに気を取られたコハクは次の手を撃たなかったことが失敗だった。

「あっ!!? 」

「げほッ! げほげほっ!! 」

 苦し紛れだがアミーは服に仕込んでいた何かで拘束から脱出していた。黒いオーラのようなものを放っているが、土埃は払えていないため魔術は使えないはずである。

「……まさか古い魔術? 」

「げほっげほっ! 」

「古い魔術は今では使える人はほとんどいないのに、少なくとも1年で古い魔術が使えるようになるとも思えない。この一年で本当に何があったの? 」

 コハクが考えながら分析していると土埃は収まってしまった。そのためアミーは話せるように、魔術を使えるようになってしまった。

「げほっ! ぷへっ! この! 」

 砂を口から唾と一緒に吐き出して目を拭い、余裕がないアミーとは対照的に冷静になってコハクがアミーに質問をする。だが知りたいことは何一つ得ることができない。

「ねぇアミー。誰がアミーやおねぇちゃん、みんなをこんな風にしたの? 」

「……」

「まって! 話を聞いてよ! 話を聞かせてよ!! 」

 アミーはコハクの話を聞く気はないようで距離と取る。コハクはほうき星を杖から箒に形状を変え、アミーはそのまま、お互いが空へ飛び、魔術で応戦できる準備ができるように移動しながら準備した。

「『……マインド』! ……? おじちゃん? 」

そんな中、コハクは自分の魔術に異変があることに気が付いた。発動しているはずのいくつかの魔術の効力が強制的に切られていた。コハクは雷帝丸の身に何かあったことを察したが、雷帝丸を信じてアミーを追うことにした。



「やべ…うぐ……」

「腐れ勇者、殺ス」

「コハク…やっぱり禁術だろこれぇ……! 」

 盾も剣も失い、防具も金属部が破損、革などの布部分もズタズタで道具も肉体も役立たずになった雷帝丸はシクロに追い詰められていた。校舎の壁に打ち付けられて倒れた雷帝丸はかろうじて意識があるくらいでこれ以上の戦闘は不可能だった。

(だが冷静に考えてみればおかしな話だ。半日前まで変態行為をしてでもコハクを助けようとしていたシクロがこんなことになるとは考えにくい。でも実際に今はこんな態度。俺に対しては百歩譲って納得できるがコハクに対しての態度は納得できない! )

 雷帝丸は意識を保つことで精いっぱいな身体を起こしてシクロを見るが肝心の身体は立ち上がることは出来ず、片膝を着いた状態だった。

「これで最後だ、腐れ勇者」

「ぜー、ぜー……げほっ! 」

 ゆっくりと近づいてくるシクロは鬼の形相をしている。その鬼の形相の額にはうっすらと文字が浮かんでくる。

「文字? 何かの魔術? でも見覚えのある文字? 」

「最後の一撃、受けてみよ」

 シクロはそう呟いて雷帝丸を担いだ。抵抗する雷帝丸だがシクロに腹部を一度殴打されただけで動けなくなってしまった。ふぐっと一声上げ、血が口から噴き出て動けなくなった雷帝丸を担いでシクロは校舎へ入っていき、階段を昇っていく。



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