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ベテラン勇者のおつかい  作者: Luoi-z-iouR(涙州 硫黄)
風の国
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風の国 ⑰陸の抵抗、空の砲撃

「うぐっ! この! いい加減に…! 」

(……)

 シクロは暴走して訳も分からず雷帝丸を攻撃しているが、逆に雷帝丸は攻撃ができないことを見破っていた。雷帝丸はシクロの攻撃に耐えきれないこともあるが、なによりも仲間に拳を振るうことはできなかったのだ。敵であるならいざ知らず、仲間であるシクロに攻撃できないとなればコハクの友人であるアミーに攻撃しようかとも一瞬頭に過ったが大の大人が子どもに向かって本気で殴ることも躊躇してしまった。

「たぁ! 」

「うぐ…! 」

 雷帝丸はシクロの右の拳が盾で守ってない左の脇腹に突き刺さり片膝を着く。雷帝丸は仲間に拳を上げられない以上はシクロのスタミナ切れを狙うしかなかったのだ。

「がはっ…! 」

「もウすぐ、殺ス」

「し、シクロ……うぐっ! 」

「アミー、タスケル。ガキ、倒ス」

 シクロは雷帝丸とは対照的に冷たい言葉で返す。雷帝丸はそんな態度のシクロについに本気で怒り、心に雷火が燃え広がる。

「おい…!今なんて言った!! 」

「ガキ、タオ…」

 雷帝丸は怒りの余りシクロの言葉の途中でシクロの背後に移動し、腕を首に回して締め上げた。結果的には軽い隙を作ったが、雷帝丸の頭にはそんなことは考える余地はなかった。怒りに満ち溢れた雷帝丸は冷静さを失っているため攻撃が単調になっている。それでも雷帝丸の心の雷火は一瞬で業火へと変わり、火事場の馬鹿力のような能力を持つシクロに向かって火事場の馬鹿力のように身体と心が付き動かされる。

「俺が攻撃できないと思ったか!? 仲間を仲間とは認めないのなら、俺が仲間としてぶっ飛ばす! 」

「フン! 」

「ぶべ!? ほげぇ!! 」

 雷帝丸はやっと攻勢に出たばかりだがシクロの肘の一撃が除骨に入り、一瞬で絞めを降りほどかれ、回し蹴りで吹き飛ばされた。

「げほ……つい半日前までコハクのことをあんなに溺愛してたのにこの変わりようはなんなんだ!? 」

 雷帝丸の謎は解けない。文字通り一蹴されたことで雷帝丸の雷火は沈下してしまうが、同時に冷静さを少し取り戻す。だがシクロは待ってくれない。次の攻撃の構えを既に始めていた。


「燃えろ、私のコズミック…! 」

「ちょっと待て!! また嫌な予感がするんですけど!? いろんな意味で嫌な予感がするんですけど!!? 」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……! 」

「よせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!! 」

 シクロは自分に眠る何かを燃やすために両腕をぐるぐる回して構えた。その後ろには天馬の星座が浮かび上がる。

「音速越え流星の拳!! 」

「うわっ! くっ…!? のあぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 」

 シクロのパンチは音速を超える拳の連撃で、雷帝丸に襲い掛かる。パンチの威力はやはり一発一発がすさまじく、雷帝丸に余すことなく音速の拳を撃ち込んだ。雷帝丸は盾で防いだ。だがシクロはその上を突き抜ける攻撃力だった。少し屈めば全身を覆うほど大きな雷帝丸の盾は音速の拳に打ちのめされて粉々に砕かれて数十発の音速越えのパンチを受けた。ついにすべての武器を失った雷帝丸は防具でさえ金属部分が粉々に砕かれ、革部分はズタズタに裂け、あまりの衝撃に大学の校舎に叩きつけられるように吹き飛ぶ。

「がっ…ごはっ!! 」

 コハクの魔術で耐久力を上げていたがそれも空しく、雷帝丸は口から血を噴き出して倒れてしまった。



 地上で格闘戦が繰り広げられている頃、魔術師の幼女二人の戦いも熾烈を繰り広げていた。作戦通り空から仕掛けるアミーは雷帝丸の強化の魔術を仕掛け終わったコハクに攻撃の魔術を仕掛けようとしていた。

「『コール、ブリザード、スパーク、フレイム、ブースト、ブラスター』」

「『コール! バリア、リフレクション、サーマル、アース、ブレイズ、ブースト、マインド』! 」

 空から氷、雷撃、炎が降り注ぐが、コハクはそれらに対応した防御の魔術に加え、更に防御を固めて最小限のダメージで魔術を反射する魔術を唱えて対応する。しかしこれをアミーはしっかりと回避した。

「『コール、オート、ホーミング、スパーク、ブリザード、チェイン、ブースト、ブラスター』」

「『コール! バリア、リフレクション、ジャミング、アース、サーマル、ブースト、マインド』! 」

 アミーは自動で追跡してくる魔術の攻撃を繰り出した直後に霧雨の中に隠れてしまった。その攻撃を最小限のダメージで返そうと防御と反射の魔術で対応するが、霧雨の中に消えたアミーに反撃することはできなかった。コハクはアミーの次の一手を読んで次の攻撃の対策を練る。

(チェインでこの霧雨みたいな広くて時間の長い魔術の分け与えて貯めてるはず。だからチェインを使うってことは後で何かしてくるよね。物にも魔術自体にも魔力を分け与えて後で使えるように戦いながら準備してる…反撃に注意しなきゃ。それにやたらとオートとホーミングを使ってきて攪乱していて、かつ霧雨を使った攻撃だとするなら次の手はよけられないほどのでっかい攻撃をしてくるはず! )

「『コール…オーバーフロー、ブースト、ソナー、マインド』」

 コハクは自分を強化する魔術を仕掛けて迎撃する準備を整えた。しかし、『オーバーフロー』は本来の用途は自滅用の魔術で、自分の残りの魔力をすべて注ぎ込んで相手に強い一撃を与えるものである。しかしコハクは『能力』の影響で魔力切れを起こさないため、『オーバーフロー』を唱えてもノーリスクで強い魔術を唱えることができる。その膨大な魔力を使い自身を強化したところで、次の魔術を唱えた。


『コール! フレイム、トルネード、スパーク、イクスキュージョン、ブースト』…」

「「『ブラスター』!! 」」

 コハクは炎と風と雷撃、爆発を組み合わせて霧雨の中のどこからでも攻撃されても返り討ちにできるように炎、風、雷、爆発を自分を囲うように発生させた。一方アミーはコハクの予想通りに霧雨の中からコハクに向かって四方八方から氷と雷撃で連続攻撃してきた。アミーの攻撃の威力は先ほどの攻撃よりもはるかに高いが、コハクはそれを簡単に上回る。すべて防ぎ切り、霧雨の中にいるアミーはほんの少しだがコハクの防壁で身を焦がす。コハクの攻防一体の魔術が成功した。

「くっ! 」

「見つけた!! 『コール! サモン! きらきら星』! 」

 容赦なく追撃するコハク。今さらだが彼女は今まで使っていた杖に正式名称とは別に名前をつけている。「ほうき星」は雷帝丸たちと会う以前から使っている長距離移動や機動力などに適し、魔力に反応して箒にも変形する杖でありながら普段使いでも扱いやすい非常に便利な一本。人気のモデルで正式名称は「トルネードトリップ3」である。T3、TTTなど呼び名が多いがそれでもコハクは自分のトルネードトリップ3には「ほうき星」という別の名前を与えている。

 そして新たに手に入れた「プロト・イビルホーン」にも新たな名として「きらきら星」と名付けた。そして、そのきらきら星を新たな相棒として呼び出したのである。

「魔力補助アイテムをふたつ一緒に使うつもり!? 二本の杖を同時に、しかもあれは試作品!? 」

「お願いね、ほうき星、きらきら星。『コール』!!! 」



空ではコハクちゃん優勢でありながらも陸では雷帝丸さんが劣勢です。一対一に持ち込んだことで雷帝丸さんが逆にピンチになってしまいました……。

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