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ベテラン勇者のおつかい  作者: Luoi-z-iouR(涙州 硫黄)
風の国
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風の国 ⑭脱出の前に

 雷帝丸とコハクは半壊した学校の校舎を出た。校舎に突撃することを優先したため魔術師が残っていると思って構えていたが、先ほどの爆発のせいか多くの魔術師が倒れていた。攻撃を仕掛けるようなこともしてこなかったため魔術師はの多くはもう学校にはいないようだ。

「入るときは大変だったのに、出ていくときはあっさりしてるな」

「おじちゃんが学校を吹き飛ばしたからね」

「い、痛いところを…」

「まぁ、魔術なら修復もそんなに時間かからないから資料とか失くなってなければ大丈夫だよ」

「それもうだめじゃね? 」

 魔術の汎用性を感じる発言だが、実際に手練れの魔術師なら汎用性の高い代物に代わるものである。下手をすると他の職業の仕事を奪ってしまうこともある。

「学校から出よう。コハクの母さんを探しに行こう」

 雷帝丸はコハクと共に学校から出ようとしたところで、侵入前に戦闘を行った校門前には先ほどとは別の魔術師の部隊がいた。この魔術部隊は先ほどとは違い服装が近接戦に対応しやすいように胴着のような服装に仮面をしている。装備している武器も剣、爪、グローブ、槍など統一されていないが、一番小さな魔術師だけは先ほどの魔術師たちと似たフードを深く被り、その部隊の象徴なのか仮面をつけている。その魔術師は自分よりも大きな杖を持っていた。

「こいつら! 」

「……やっぱり」

「倒してからじゃないと先には進めないか! 」

「違う……! 」

 コハクは今までとは異なる声音を出しながら震えている。コハクは怒っているのだ。小さな女の子が放つような怒りの剥きだし方ではなく、もはや歴戦の猛者が放つ威圧に引けを取らない。雷帝丸はそれを見てたじろぐ。

「こ、コハク? どうした? 表情が穏やかじゃないんだけど? 」

「……」

 一番小さい魔術師が無言で手を差し出して指示をするとほかの魔術師が一斉に襲いかかって来た。

「おじちゃん、一番小さいのだけ手加減して。軽く怪我をさせるくらいでお願い! 」

「お、おう? 」

 雷帝丸は疑問に思いながら盾しかない状態で魔術師たちと近接戦を強いられることになった。それもコハクの指示で全力が出せない状態である。


「『コール! ディフェンド、プロテクト、リジェネレイト、エンドランス、ブースト、ブラスター』! 『コール!バリア、リフレクション、ブレイズ、アース、ブースト…ブラスター』! 」

 コハクが後ろで雷帝丸の支援をする魔術をかけている。

「盾しかないが、魔術師相手ならいいハンデだ! ってアレ? なんかいつもと身体の感覚が違う? 」

「おじちゃん! 防御力と回復力と持久力、それに魔術の耐性を上げる魔術をかけたからがんばって! 」

「手加減するのか本気なのかわかんねぇなこれ」

 魔術の支援を受けながら魔術師たちに立ち向かい、コハクは魔術師が近接戦をすることを見込んで雷帝丸についていく。

「『フレイム』! ぐはっ! 」

「『スパー…』がっ! 」

 雷帝丸は先ほどの戦闘で魔術師が接近戦に弱いことに味を占め、魔術が届きにくい懐まで一気に潜り込んで腹部や顎に拳や肘、蹴りなどを叩き込む。

「素人と大差ねぇなこの程度。さっきの奴らの方が歯ごたえあるぞ? 」

「おじちゃんなら大丈夫! 」

「あぁ! 剣が無いとはいえ魔術師が慣れてない近接戦をしようだなんてな! その程度じゃ俺には勝てないぜ! 」


 魔術師は本当に近接戦に慣れていないようで、魔術を織り交ぜた近接攻撃を仕掛けてくるが雷帝丸には効いていない。魔術の防御もあって簡単な魔術なら被弾しても火炎や雷撃が弾かれて大したダメージにならないため、雷帝丸にとっては侵入時の戦闘の方がハードだった。雷帝丸は右手の盾と何も持たない左手の拳で、コハクは古い方の杖(ほうき星)を用いながら簡単な魔術で対応する。

「おじちゃん、相手の魔術耐性が強くてコハクじゃ足止めにしかならない! 」

「伏せろ! 」

「ぐはっ!? 」

 雷帝丸はコハクに指示を出すとコハク側にいた魔術師に向かって盾を投げつけた。盾は魔術師の胸部に当たって軽く吹き飛び、その場で気絶した。これで雷帝丸はほぼ素手である。

「がら空き! 」

「そぉい!! 」

 雷帝丸は盾を失っても、ちょっとした手袋しかなくとも、剣を持った魔術師に振り向きながら顎に左の拳でアッパーを決め、一撃で沈めた。

「武器がなくたって俺はベテラン勇者だ! 甘く見たな魔術師(もやし)共! 」

「意外とすごいからね、おじちゃんは! 」

「意外と、ね…」

 コハクが足止めし、雷帝丸が退治する。先ほどよりも人数も強さも下なのでリーダーと思われる自身よりも大きな杖を持つ一番小さな魔術師以外を戦闘不能にした。

「さぁ、あとはお前だけ! 俺Tsueeeeeeeeeeeeeee!! 」

「待っておじちゃん……この人はコハクがやる」

 コハクは年齢に似合わない低い声でそう呟き前へ出た。すると最後の魔術師にこう言い放った。

「これはどういうことなの…アミー」



作者としては雷帝丸さんが俺TUEEEEしているのは違和感がものすごいです。仲間の支援があり、相手が格下でなければできないので今回は奇跡的に条件が噛み合っているようです。雷帝丸さんは普段から不遇な目に合うことがやたらと多いし才能もそれほど無くて苦労しているので、今回くらいは大目に見ましょう。

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